第24回 言語聴覚士国家試験 第61問
高次脳機能障害第24回
神経心理学の考え方について誤っている組み合わせはどれか。
a.離断の原理 ― 意図性と自動性の乖離
b.二重乖離の原理 ― 機能障害と病巣との関係
c.ボトムアップ処理 ― データ駆動型処理
d.トップダウン処理 ― 予測的枠組みへの当てはめ
e.バイヤルジュージャクソンの原理 ー抽象的態度の喪失
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,e
この問題は神経心理学の基本概念における「離断の原理」と「ジャクソンの原理」の定義が誤っていることを見抜く問題です。aは意図性と自動性の乖離ではなく「解離」の概念であり、eはジャクソンの原理の内容を正確に理解する必要があります。
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【各選択肢の解説】
a. 離断の原理 ― 意図性と自動性の乖離
❌ 誤り。離断の原理(dissociation)は「ある機能は障害されているが、別の機能は保たれている状態」を説明する概念です。意図性と自動性の乖離は「解離」であり、異なる概念です。例えば、失行症で目的的動作は困難だが自動的動作は可能な場合の説明に使われます。
b. 二重乖離の原理 ― 機能障害と病巣との関係
✅ 正しい。二重乖離(double dissociation)は「患者Aはタスク1は障害・タスク2は保持、患者Bはタスク1は保持・タスク2は障害」という互いに逆のパターンから、異なる神経基盤を証明する原理です。機能と病巣の関係を明確にします。
c. ボトムアップ処理 ― データ駆動型処理
✅ 正しい。ボトムアップ処理は低次の感覚情報から始まり、段階的に高次の認知処理へ進む「データ駆動型」です。網膜像から始まる知覚処理が典型例です。
d. トップダウン処理 ― 予測的枠組みへの当てはめ
✅ 正しい。トップダウン処理は高次の認知(知識・経験・期待)が低次の感覚入力を修飾する「概念駆動型」です。文脈に基づいた予測的解釈が特徴です。
e. バイヤルジュージャクソンの原理 ― 抽象的態度の喪失
❌ 誤り。ジャクソンの原理(Jacksonian principle)は「脳損傷時に高次機能(新進化機能)から低次機能が解放される」という神経学的一般原理です。「抽象的態度の喪失」はゴールシュタイン(Goldstein)の抽象的態度障害の説明であり、異なる理論家です。混同が容易な誤りです。
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【試験対策ポイント】
神経心理学の基本概念整理
| 概念 | 定義 | 適用例 |
|---|---|---|
| 解離(Dissociation) | ある機能は障害・別機能は保持 | 目的的動作障害+自動動作保持(失行) |
| 二重乖離 | 逆パターンの解離で異なる神経基盤証明 | 患者A「読む障害・書く保持」vs患者B「読む保持・書く障害」 |
| ボトムアップ処理 | 感覚→認知への段階的処理 | 網膜像から視覚認知へ |
| トップダウン処理 | 予測・知識が入力を修飾 | 文脈による単語認知促進 |
理論家と理論の対応(頻出混同)
| 人物 | 主要理論 | キーワード |
|---|---|---|
| ジャクソン(Jackson) | 神経進化の原理 | 高次機能の喪失→低次の解放 |
| ゴールシュタイン(Goldstein) | 抽象的態度障害 | 具体的思考への傾斜 |
| ルリア(Luria) | 機能系理論 | 脳領域の相互作用 |
頻出誤り回避
- 「離断」と「解離」:異なる概念
- 「ジャクソン