STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第24回 言語聴覚士国家試験 第62問

高次脳機能障害第24回
半側空間無視について正しいのはどれか。
  1. 1.症状に対する病識があることが多い。
  2. 2.一側視野にある対象に気付かない。
  3. 3.左半球損傷による方が重傷である。
  4. 4.行動観察から症状を見つけることは難しい。
  5. 5.聴覚や体性感覚刺激に対しても起こり得る。 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 聴覚や体性感覚刺激に対しても起こり得る。 半側空間無視は視覚刺激に限定されず、聴覚・体性感覚・嗅覚を含む多感覚領域で起こり得る高次脳機能障害です。これは注意・空間認識の根本的な障害であることを示しており、単なる視覚野損傷ではなく、右半球優位の注意ネットワーク(特に頭頂葉や頭頂葉前野)の障害によるものです。 --- 【各選択肢の解説】 1. 症状に対する病識があることが多い。 ❌ 誤り。半側空間無視は病識欠落が特徴です。患者は自分の症状に気付かず、「見えない側にあるから仕方ない」という認識すら持たないことが多くあります。これが棟重度化と関連しています。 2. 一側視野にある対象に気付かない。 ❌ 誤り。半側空間無視は「視野狭窄」ではなく「空間無視」です。患側の視野には物理的に対象が見えていても、注意が向かないため気付きません。視機能検査では異常がないことが診断的特徴です。 3. 左半球損傷による方が重傷である。 ❌ 誤り。半側空間無視は右半球(特に右頭頂葉)損傷で圧倒的に高頻度かつ重症です。左半球損傷では稀であり、生じても軽微です。これは右半球の注意ネットワークの優位性を反映しています。 4. 行動観察から症状を見つけることは難しい。 ❌ 誤り。むしろ行動観察が診断の第一手段です。線分抹消テスト、図形模写試験(時計描画)、セットテストなど、簡便な検査で容易に検出可能です。病識欠落のため自己報告は信頼できません。 5. 聴覚や体性感覚刺激に対しても起こり得る。 ✅ 正しい。視覚刺激だけでなく、聴覚刺激(患側から呼びかけても反応が遅い)や体性感覚刺激(患側の触覚刺激への無視)でも半側空間無視が報告されています。空間的注意障害の本質を示す知見です。 --- 【試験対策ポイント】 半側空間無視の鑑別表: | 項目 | 詳細 | |---|---| | **好発部位** | 右半球(特に右頭頂葉・頭頂前野) | | **病識** | 欠落が特徴(患者は症状に気づかない) | | **視野検査** | 異常なし(視野欠損ではない) | | **刺激範囲** | 視覚・聴覚・体性感覚全て影響 | | **検査法** | 線分抹消テスト、図形模写(時計描画) | | **訴え** | 患者の主訴に基づくべきではない | 頻出の紛らわしい点: - 「視野狭窄」と混同しない(半側空間無視は神経眼科的視野障害ではない) - 「左右の優位性」を間違えない(右半球損傷で圧倒的に多い) - 「視覚限定」と考えない(多感覚領域での障害が起こる)
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