STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第24回 言語聴覚士国家試験 第63問

高次脳機能障害第24回
誤っているのはどれか。 a.道具使用のパントマイムは観念運動失行の評価に用いられる。 b.BPO(Body part as object)は観念性失行の特徴的な誤りである。 c.対象操作で拙劣さがあれば肢節運動失行と判断できる。 d.肢節運動失行は左右いずれの大脳半球の損傷でも生じる e.観念性失行では意味性の錯行為がみられる。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — b,cが誤り 失行の分類と評価方法に関する基本的な理解が問われています。観念運動失行と観念性失行の違い、そして各評価方法の妥当性が試験のポイントです。 --- 【各選択肢の解説】 a. 道具使用のパントマイムは観念運動失行の評価に用いられる。 ✅ 正しい。観念運動失行の評価において、実際の道具がなくても道具使用の動作をさせる「パントマイム評価」は標準的な検査方法です。例えば「ハンマーで釘を打つ動作をしてください」という指示が典型的です。 b. BPO(Body part as object)は観念性失行の特徴的な誤りである。 ❌ 誤り。BPO(身体部位を対象として扱う誤り)は観念運動失行の特徴的な誤りです。例えば「爪楊枝で歯を磨く」という指示に対し、爪楊枝の代わりに自分の指を歯に当てて磨く動作をする場合です。観念性失行は意味性の錯行為を示すため異なります。 c. 対象操作で拙劣さがあれば肢節運動失行と判断できる。 ❌ 誤り。対象操作での拙劣さだけでは肢節運動失行と判断できません。肢節運動失行の診断には、パントマイム(道具なし)での拙劣さが必須です。実際の対象を使う場合に正常に操作できれば、単なる不器用であり失行ではありません。 d. 肢節運動失行は左右いずれの大脳半球の損傷でも生じる。 ✅ 正しい。肢節運動失行は大脳皮質運動領域や帯状回など比較的広く分布した領域の損傷で生じるため、左右半球いずれの損傷でも出現します。一方、古典的な失行(特に観念運動失行)は左半球損傷に多い傾向があります。 e. 観念性失行では意味性の錯行為がみられる。 ✅ 正しい。観念性失行は道具と対象の関係性の理解障害によるもので、例えば「歯ブラシで髪をとく」といった道具の誤用(意味性の錯行為)が特徴的です。 --- 【試験対策ポイント】 失行の分類と特徴 | 失行の種類 | 責任病巣 | 特徴的な誤り | 評価方法 | |---|---|---|---| | 観念運動失行 | 左頭頂葉・左前頭葉 | BPO(身体部位を対象として扱う) | パントマイム検査が最重要 | | 観念性失行 | 左頭頂葉 | 意味性の錯行為(道具誤用) | 対象操作で明らかになる | | 肢節運動失行 | 両側大脳皮質運動領域 | 個々の動作の拙劣さ | パントマイム検査 | 重要な否定知識: - 「対象操作が拙劣」=肢節運動失行ではない。パントマイムでの拙劣さが診断基準 - BPOは観念性失行ではなく観念運動失行の特徴 - 肢節運動失行は左右半球損傷両者で起こる(観念運動失行は左が多い)
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