STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第24回 言語聴覚士国家試験 第90問

聴力検査第24回
新生児聴覚スクリーニング検査について正しいのはどれか。
  1. 1.左右別の評価はできない。
  2. 2.出生1ヶ月後から実施する。
  3. 3.法的に実施が義務つけられている。
  4. 4.自動ABRでは聴力レベルが評価できる。
  5. 5.自動ABRはDPOAEよりも偽陽性が少ない。 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 自動ABRはDPOAEよりも偽陽性が少ない 新生児聴覚スクリーニング検査では、DPOAE(歪成分耳音響放射)と自動ABR(脳幹聴覚誘発電位)が主に使用されます。自動ABRはDPOAEよりも外耳道の液体や中耳液の影響を受けにくく、偽陽性(聴力が正常なのに異常と判定される)が少ないという特徴があります。これが両者の重要な使い分けのポイントです。 --- 【各選択肢の解説】 1. 左右別の評価はできない。 ❌ 誤り。両検査とも左右別に評価可能です。自動ABRもDPOAEも両耳を独立して検査できるため、左右差を検出することができます。 2. 出生1ヶ月後から実施する。 ❌ 誤り。新生児聴覚スクリーニング検査は「出生後3日以内」(できれば生後24時間以内)に実施することが推奨されています。生後1ヶ月では遅すぎます。 3. 法的に実施が義務つけられている。 ❌ 誤り。日本では法的な義務ではなく、推奨事項です。ただし、厚生労働省の指針(2000年)により「全新生児を対象に実施すること」が強く推奨されており、多くの施設で実施されていますが、法令では義務化されていません。 4. 自動ABRでは聴力レベルが評価できない。 ❌ 誤り。自動ABRは音刺激に対する脳幹の電気的応答を記録するもので、聴覚の有無(合否判定)が主目的ですが、反応の有無から「50dB程度の聴力がある」という定性的な評価は可能です。ただし、正確な聴力レベル決定には適しません。 5. 自動ABRはDPOAEよりも偽陽性が少ない。 ✅ 正しい。自動ABRは脳幹の神経活動を直接測定するため、外耳道の液体や中耳液の影響をDPOEより受けにくく、結果として偽陽性が少ないという利点があります。新生児の場合、羊水が残存したり中耳液が存在することが多いため、この特性は重要です。 --- 【試験対策ポイント】 新生児聴覚スクリーニングの検査比較 | 項目 | DPOAE | 自動ABR | |---|---|---| | 検査原理 | 耳音響放射(蝸牛) | 脳幹の電気応答 | | 偽陽性率 | 較的高い | 較的低い | | 外耳道液・中耳液の影響 | 大きく受ける | 受けにくい | | 実施時期 | 生後3日以内 | 生後3日以内 | | 左右別評価 | 可能 | 可能 | | 聴力レベル測定 | できない | できない(定性的判定のみ) | | 検査時間 | 短い | 較的長い | 重要な否定知識 - 「法的義務」ではなく「推奨」である - 「出生1ヶ月後」では遅い - 「聴力レベルを正確に評価」する検査ではない→詳細検査は3〜4ヶ月後にABRで実施 - スクリーニング陽性例には「精密検査(ABR聴力検査など)」の段階が必要
関連

▶ 第24回 全問一覧

▶ 聴力検査 の過去問一覧