第24回 言語聴覚士国家試験 第92問
聴力検査第24回
平均聴力レベルが50dBHLで骨導閾値が10dBHL。この結果と整合性のあるのはどれか。
a.SISI80%
b.語音了解閾値50dB
c.最高語音明瞭度100%
d.ティンパノメトリーAd型
e.自記オージオメトリJergerV型
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — b,c,d
この症例は気導50dBHL、骨導10dBHLで、40dBのエアボーン・ボーン・ギャップ(ABG)を示しており、典型的な伝音難聴です。伝音難聴では内耳機能が温存されているため、骨導閾値の良好さが重要なポイントになります。各選択肢を骨導閾値の良好性と内耳機能の保存という視点で検討します。
---
【各選択肢の解説】
a. SISI80%
❌ 誤り。SISI(Saturated Sound Intensity Discrimination Test)が高い値(60%以上)は、内耳の採音機能が良好であることを示す指標です。骨導閾値が10dBHLと非常に良好な本症例では、内耳機能は正常であり、SISIは高値(80%)を示すはずですが、むしろ「内耳障害がある場合に高くなる検査」という概念の誤用が混在しやすく、伝音難聴ではSISIの解釈が異なる可能性があります。通常、伝音難聴でSISIが著しく高値になることは予測しにくいため、この選択肢の整合性は低いとされています。
b. 語音了解閾値50dB
✅ 正しい。語音了解閾値(Speech Reception Threshold: SRT)は、音声言語が認識できる最小限度のレベルです。気導閾値が50dBHLである本症例では、SRTも同じく50dB付近に一致することが期待されます。これは伝音難聴の特徴で、骨導経由では言語音が正常に処理されるため、気導で提示されたときの認識閾値は気導閾値に平行します。
c. 最高語音明瞭度100%
✅ 正しい。骨導閾値が10dBHLで内耳機能が正常に保持されている伝音難聴では、十分なレベルで音声言語を提示すれば、言葉の意味分別能力(最高語音明瞭度)は100%に達します。これは伝音難聴の最大の特徴:「内耳障害がないため、音量を上げれば言葉がはっきり聞こえる」を反映しています。
d. ティンパノメトリーAd型
✅ 正しい。Ad型は高コンプライアンス(振幅が大きい)を示し、耳小骨連鎖の可動性が増加している状態を示唆します。本症例の40dBのABGは耳小骨離断や異常可動を示唆する所見であり、Ad型は耳小骨連鎖の異常(離断・固定の逆)を反映しており、伝音難聴の病因として整合的です。
e. 自記オージオメトリJergerV型
❌ 誤り。JergerのV型は、上昇型に続いて再び低下する「台地状」パターンを示し、通常は内耳性難聴(感音難聴)を示唆します。伝音難聴では通常Ⅰ型またはⅡ型の上昇型を示すことが多く、V型は伝音難聴と矛盾します。また、本症例の骨導閾値10dBHLの良好性とも整合しません。
---
【試験対策ポイント】
気導・骨導閾値の組み合わせから、難聴の種類と内耳機能を推測することが最重要。
| 項目 | 伝音難聴 | 感音難聴 |
|---|---|---|
| 気導・骨導差 | ≧20dB(大きい) | ≦10dB(小さい) |
| 骨導閾値 | 正常(0~15dBHL) | 障害(悪い) |
| SRT | 気導閾値に一致 | 気導閾値と乖離可能 |
|