STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第24回 言語聴覚士国家試験 第93問

小児聴覚障害第24回
聴覚障害児の読解で最も習得が早い文型はどれか。
  1. 1.お兄ちゃんを弟がたたいた。
  2. 2.お母さんにりんごをもらった。
  3. 3.春ちゃんはみかんを食べた。 ✓
  4. 4.犬にえさを食べさせた。
  5. 5.後ろから友達に押された。

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 春ちゃんはみかんを食べた。 聴覚障害児の読解習得順序は、文型の「構造的複雑さ」に依存します。正答の3番は主語+述語+目的語の最もシンプルな「SVO型(直接目的語構文)」で、聴覚障害児が最初に習得できる基本文型です。これは文の要素が線形順序(左から右へ)に並び、意味役割が分かりやすいため習得が早いのです。 --- 【各選択肢の解説】 1. お兄ちゃんを弟がたたいた。 ❌ 誤り。これは「受動的世界認知」が必要な二項動詞構文で、主語と目的語の並び順が意味役割(「誰が」「誰を」)を決定します。聴覚障害児は目的語が先に出現することで理解が困難になりやすく、習得は遅れます。 2. お母さんにりんごをもらった。 ❌ 誤り。与格構文(間接目的語を含む三項動詞)で、「に」の助詞が表す「与え手」の役割を理解する必要があります。助詞の機能的役割の習得は、単純な直接目的語より遅くなります。 3. 春ちゃんはみかんを食べた。 ✅ 正しい。主語+は+目的語+を+述語という最も基本的なSVO構造です。「は」は主題提示、「を」は直接目的語標示であり、助詞の役割が明確で単純です。聴覚障害児が最初に習得する典型的な文型です。 4. 犬にえさを食べさせた。 ❌ 誤り。使役構文で、「〜させた」という因果関係や使役意味の理解が必要です。また「に」が「行為者」を示す点で、助詞の機能が複雑になります。習得は3番より遅れます。 5. 後ろから友達に押された。 ❌ 誤り。受動態+補格構文で、最も複雑です。受動的意味役割の理解に加え、「から」「に」という複数の助詞が異なる役割を担うため、習得は最も遅くなります。 --- 【試験対策ポイント】 聴覚障害児の文法習得順序(易→難) | 段階 | 文型 | 特徴 | 習得時期 | |---|---|---|---| | 第1段階 | SVO(直接目的語構文) | 主語→目的語→述語が線形順 | 最早期 | | 第2段階 | SVO+格助詞「を」 | 目的語の標示が明確 | 早期 | | 第3段階 | 与格構文(三項動詞) | 「に」の機能的役割習得が必要 | 中期 | | 第4段階 | 使役構文 | 因果関係・使役意味の抽象理解が必要 | 後期 | | 第5段階 | 受動態+複数の格関係 | 複数助詞+受動的意味役割 | 最遅期 | キーポイント - 聴覚障害児は「線形順序」と「助詞の明示性」に依存する - 「は」と「を」は比較的早期に習得される助詞 - 受動態・使役構文・複数格関係構文は習得が遅い - 意味上の自然さ(「兄が弟を叩く」は現実的)> 文法的複雑性ではない点が重要
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