STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第24回 言語聴覚士国家試験 第97問

補聴器・人工内耳第24回
人工内耳について誤っているのはどれか。 a.内耳奇形を伴う場合は手術の禁忌となる。 b.内有毛細胞を刺激することによって音が知覚される。 c.音の高さは刺激する電極の場所で決定される。 d.EAS(残存聴力活用型人工内耳)は低周波数の聴力が正常でも適応になる。 e.CIS(continuous interleavved sampling)コード化法は時間情報重視型である。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — a,b 人工内耳は内耳奇形を伴う場合でも手術適応となり得ます(奇形の程度によるが「禁忌」ではない)。また、人工内耳は内有毛細胞を刺激するのではなく、電極で直接「蝸牛神経を刺激」して音を知覚させるため、bも誤りです。 --- 【各選択肢の解説】 a. 内耳奇形を伴う場合は手術の禁忌となる。 ❌ 誤り。内耳奇形(コルチ器形成不全・内リンパ嚢拡大症など)を伴う場合でも、蝸牛神経が存在し聴神経腫瘍がなければ手術適応になる可能性があります。完全な蝸牛欠損など極めて限定的な場合を除き、禁忌ではありません。 b. 内有毛細胞を刺激することによって音が知覚される。 ❌ 誤り。人工内耳の最大の特徴は「内有毛細胞を介さず直接蝸牛神経を電気刺激する」ことです。蝸牛奇形や毛細胞欠損があっても機能する理由はこれです。補聴器は内有毛細胞を刺激しますが、人工内耳は異なります。 c. 音の高さは刺激する電極の場所で決定される。 ✅ 正しい。蝸牛は周波数配置(tonotopic organization)を持ち、基礎回転部=高周波数、頂部=低周波数です。人工内耳は電極の位置によって周波数情報をコード化するため、刺激部位で音の高さが決定されます。 d. EAS(残存聴力活用型人工内耳)は低周波数の聴力が正常でも適応になる。 ✅ 正しい。EASは残存する低周波数聴力を補聴器で増幅し、高周波数領域を人工内耳で電気刺激する方式です。設問の「正常でも」という表現は「低周波数聴力が比較的保たれていれば、完全正常でなくても適応」という意味で正しい記述です。 e. CIS(continuous interleaved sampling)コード化法は時間情報重視型である。 ✅ 正しい。CIS法は周波数帯域の音声信号を複数チャネルで並行処理し、包絡線情報(時間的な振幅変化)を抽出して刺激パターンを決定する「時間情報重視型」の処理方式です。 --- 【試験対策ポイント】 | 項目 | 補聴器 | 人工内耳 | |---|---|---| | 刺激対象 | 内有毛細胞 | 蝸牛神経(直接) | | 適応条件 | 内有毛細胞機能必須 | 蝸牛神経が存在するのが条件 | | 周波数配置 | 自然な周波数配置利用 | 電極位置で周波数決定 | | 内耳奇形時 | 配置不全→効果限定的 | 多くの場合適応可能 | 人工内耳の関連知識: - 手術禁忌:「蝸牛神経欠損」「聴神経腫瘍(両側)」「活動性感染」 - EAS適応:高周波数聴力が低下しており「かつ低周波数に残存聴力がある」 - コード化法:CIS(時間重視)vs ACE(周波数重視)の使い分け 誤りやすいポイント: - 「奇形=禁忌」と誤認する(程度による) - 人工内耳の原理を「毛細胞刺激」と誤解する(実は神経直接刺激)
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