第24回 言語聴覚士国家試験 第99問
補聴器・人工内耳第24回
人工中耳(VSB)について正しいのはどれか。
- 1.植え込んだ振動子の振動を骨導刺激で内耳へ伝える。
- 2.植え込み型骨導補聴器(BAHA)に比べ高音域の利得が少ない。
- 3.両側先天性外耳道閉鎖症には植え込み手術の適応がある。 ✓
- 4.活動性感染耳に植え込み手術の適応がある。
- 5.インプラントの振動子は鼓膜に装着する。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 両側先天性外耳道閉鎖症には植え込み手術の適応がある。
人工中耳(VSB:Vibrant Soundbridge)は、外耳道を通さずに中耳の小骨(特に外側半規管窓)に直接振動子を装着し、骨導よりも効率的に内耳へ音響刺激を伝える装置です。両側先天性外耳道閉鎖症のように気導補聴器が装用できない難聴患者や、骨導補聴器でも音圧が不十分な症例が適応となります。
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【各選択肢の解説】
1. 植え込んだ振動子の振動を骨導刺激で内耳へ伝える。
❌ 誤り。VSBは「直接駆動型」で、振動子が中耳小骨(キヌタ骨)に直接接触し、機械振動として内耳に伝えます。骨導ではなく、中耳機械駆動方式です。骨導補聴器のように頭部の骨を振動させて振動を伝播させるのではありません。
2. 植え込み型骨導補聴器(BAHA)に比べ高音域の利得が少ない。
❌ 誤り。むしろVSBはBAHAに比べて高音域での利得が優れている傾向があります。VSBの方が直接中耳を駆動するため、周波数特性が幅広く、特に高周波数での効率が良好です。
3. 両側先天性外耳道閉鎖症には植え込み手術の適応がある。
✅ 正しい。外耳道閉鎖症では気導補聴器の装用が不可能なため、VSBはこうした患者の重要な治療選択肢です。両側性であっても適応があり、聴力改善が期待できます。
4. 活動性感染耳に植え込み手術の適応がある。
❌ 誤り。活動性感染耳(急性中耳炎、化膿性中耳炎など)は植え込み手術の絶対禁忌です。感染のリスク拡大や術後感染合併症の危険性が高いため、感染が完全に治癒した後に手術を行う必要があります。
5. インプラントの振動子は鼓膜に装着する。
❌ 誤り。振動子(アクチュエータ)は鼓膜ではなく、キヌタ骨(長突起)に直接装着されます。鼓膜に直接接触させると、鼓膜穿孔や損傷のリスクが生じるため、中耳小骨を確実に駆動する部位に固定されます。
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【試験対策ポイント】
VSBとBAHAの比較:
| 項目 | VSB(人工中耳) | BAHA(植え込み型骨導) |
|---|---|---|
| 伝達経路 | 中耳小骨駆動(機械振動) | 骨導刺激 |
| 装着部位 | キヌタ骨 | 頭部皮下骨 |
| 高音域利得 | 優れている | 比較的劣る |
| 外耳道閉鎖症 | 適応あり | 適応なし |
| 最大出力 | 中程度 | 大きい |
| 伝音難聴への適応 | 良好 | 限定的 |
VSBの適応条件(重要):
・両側先天性外耳道閉鎖症
・外耳道異常・手術不適応
・感音性難聴+軽度伝音性難聴の混合難聴
・骨導補聴器では十分な効果が得られない症例
※活動性感染耳は絶対禁忌
絶対禁忌:活動性感染耳・中耳炎