STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第100問

補聴器・人工内耳第25回
水平型混合性難聴に適応となる人工聴覚器はどれか a.人工内耳 b.人工中耳 c.骨固定型補聴器 d.聴性脳幹インプラント e.残存聴力活用型人工内耳 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — b, c 水平型混合性難聴とは、低音域では感音難聴、高音域では伝音難聴が混在する聴力型です。この場合、残存低音域の感音聴力を活用しつつ、高音域の伝音成分を補聴する必要があります。人工中耳(b)は中耳の機械的振動を補助し、骨固定型補聴器(c)は残存骨導聴力を活用できるため、この型に適応します。 --- 【各選択肢の解説】 a. 人工内耳 ❌ 誤り。人工内耳は高度~重度の両側感音難聴が適応であり、伝音難聴には適応外です。水平型混合性難聴で低音域に残存感音聴力がある場合、その聴力を失う結果となるため、積極的には選択されません。 b. 人工中耳 ✅ 正しい。中耳インプラント(例:Vibrant Soundbridge)は機械的振動を卵円窓や正円窓に伝達し、残存感音聴力を活用しながら伝音成分を補助します。特に低音で残存感音聴力がある混合性難聴に有効です。 c. 骨固定型補聴器 ✅ 正しい。骨伝導補聴器は乳突部などから頭蓋骨に直接振動を伝え、中耳を迂回します。伝音難聴の周波数では骨導聴力が比較的保存されているため、水平型混合性難聴の高音域伝音成分を補償できます。 d. 聴性脳幹インプラント(ABI) ❌ 誤り。ABIは両側聴神経腫瘍(NF2)や聴神経欠損など、聴神経の器質的障害がある場合に限定されます。一般的な混合性難聴は適応ではありません。 e. 残存聴力活用型人工内耳(EAS) ❌ 誤り。EASは高音域で感音難聴が高度であり、低音域に残存感音聴力がある場合に使用されます。ただし「低音に残存感音聴力がありつつ高音に伝音成分がある」という水平型の特性には、aやbの方がより直接的に適応しています。EASは両側とも感音難聴型が想定されており、伝音成分を含む混合性難聴への一般的な選択ではありません。 --- 【試験対策ポイント】 各人工聴覚器の適応難聴型: | 器 | 聴神経 | 伝音損失 | 残存感音 | 特 記 | |---|---|---|---|---| | 人工内耳 | 良 | 補助不可 | 不要 | 高度~重度感音難聴 | | 人工中耳 | 良 | 対応可 | 活用可 | 中等度混合性最適 | | 骨固定型 | 良 | 迂回 | 活用可 | 伝音成分に有効 | | ABI | 障害 | 不問 | 不要 | 聴神経障害限定 | | EAS | 良 | 補助不可 | 両耳感音 | 低音保存・高音感音損失 | 水平型混合性難聴の特徴:低音感音聴力残存+高音伝音損失→「伝音成分の補助」と「低音活用」を両立させる機器を選ぶ 中耳インプラント:乳突部削開・鼓膜穿孔がない場合に有利(最少侵襲) 骨固定型:体外装置のため可逆的、入院不要、試用容易 人工内耳は中耳を経由しないため伝音損失の影響がなく、逆にABIは聴神経を迂回するため聴神経健常が必須
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