STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第112問

耳鼻咽喉科学第25回
喉頭全摘出術に併用される頸部郭清術の合併症でないのはどれか
  1. 1.乳び瘻
  2. 2.顔面浮腫
  3. 3.肩挙上障害
  4. 4.頭部回旋障害
  5. 5.食道発声獲得不能 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 食道発声獲得不能 頸部郭清術の合併症は、頸部構造(血管・神経・リンパ管)への損傷に由来します。食道発声獲得不能は、喉頭全摘出術の結果であり、頸部郭清術の合併症ではありません。食道発声は発声機構(食道と咽頭食道接合部)の問題であり、頸部リンパ節郭清による組織損傷とは関連がありません。 --- 【各選択肢の解説】 1. 乳び瘻 ✅ 正しい。胸管損傷による合併症です。特に左側の頸部郭清時に胸管を損傷すると、乳び(リンパ球を含む脂肪乳状液)が頸部創から漏出します。リンパ瘻の中でも栄養損失と感染リスクが高い重篤な合併症です。 2. 顔面浮腫 ✅ 正しい。内頸静脈損傷やリンパ流の阻害による合併症です。特に両側郭清時や広範な郭清では、頭頸部からの静脈還流とリンパ流が障害され、顔面・頭部の浮腫が生じます。 3. 肩挙上障害 ✅ 正しい。副神経(XI)損傷による合併症です。副神経は頸部郭清時に損傷されやすく、一側損傷でも肩挙上(僧帽筋支配)が障害されます。三角筋の挙上運動が困難になります。 4. 頭部回旋障害 ✅ 正しい。副神経(XI)および胸鎖乳突筋枝の損傷による合併症です。副神経は胸鎖乳突筋も支配するため、頭部の対側への回旋が障害されます。 5. 食道発声獲得不能 ❌ 誤り。これは頸部郭清術の合併症ではなく、喉頭全摘出術そのものの結果です。喉頭が摘出されれば、正常な音声源がなくなるため、リハビリテーションで食道発声を習得しても、郭清術の合併症ではありません。 --- 【試験対策ポイント】 頸部郭清術の主要合併症と損傷神経・血管: | 合併症 | 損傷構造 | 機能障害 | |---|---|---| | 乳び瘻 | 胸管 | リンパ液漏出(栄養喪失) | | 静脈還流障害 | 内頸静脈 | 顔面浮腫・頭部浮腫 | | 肩挙上障害 | 副神経(XI) | 僧帽筋麻痺 | | 頭部回旋障害 | 副神経+胸鎖乳突筋枝 | 対側回旋困難 | 重要な除外知識: - 食道発声獲得不能=喉頭全摘出術の直接結果(郭清術の合併症ではない) - 喉頭全摘出後のリハビリテーション(食道発声・音声再建)は、郭清術の有無に関わらず同じ課題 紛らわしい理由: 喉頭全摘出と頸部郭清は同時施行されることが多いため、「喉頭全摘出に伴う問題」と「郭清術に伴う問題」を区別する必要があります。頸部郭清は肉眼的な神経・血管損傷が主であり、音声機能は直接影響を受けません。
関連

▶ 第25回 全問一覧

▶ 耳鼻咽喉科学 の過去問一覧