第25回 言語聴覚士国家試験 第120問
耳鼻咽喉科学第25回
両耳聴について誤っているのはどれか
- 1.両耳からの入力情報は、脳幹の上オリーブ核において合流する
- 2.両耳に到達する時間差と音圧差が、音源定位の手掛かりになる
- 3.低周波数の音は両耳間時間差の検出に適している
- 4.雑音と音声との混合音から雑音を取り除く効果をもつ
- 5.片耳聴に比べ聴覚閾値が上昇する ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 片耳聴に比べ聴覚閾値が上昇する
両耳聴は両側の聴覚情報を統合するため、片耳聴よりも感度が向上し、聴覚閾値は低下します。両耳聴で3dB程度の閾値改善(感度向上)が生じるため、閾値が上昇するという記述は誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 両耳からの入力情報は、脳幹の上オリーブ核において合流する
✅ 正しい。両耳聴覚情報は上オリーブ核(SOC:Superior Olivary Complex)で初めて合流し、音源定位などの両耳聴処理が行われます。ここで両耳間時間差(ITD)と両耳間音圧差(ILD)が処理されます。
2. 両耳に到達する時間差と音圧差が、音源定位の手掛かりになる
✅ 正しい。Duplex theory(二重理論)に基づきます。両耳間時間差(ITD)は低周波数で、両耳間音圧差(ILD)は高周波数で、それぞれ音源定位の手掛かりになります。
3. 低周波数の音は両耳間時間差の検出に適している
✅ 正しい。低周波数は波長が長いため、位相差を検出しやすく、両耳間時間差(ITD)の検出に適しています。高周波数は音圧差(ILD)で定位されます。
4. 雑音と音声との混合音から雑音を取り除く効果をもつ
✅ 正しい。これはカクテルパーティー効果に関連します。両耳聴により、異なる方向から来る音を分離し、目的音に注意を集中させることができます。SNR(信号対雑音比)が改善されます。
5. 片耳聴に比べ聴覚閾値が上昇する
❌ 誤り。両耳聴は片耳聴よりも感度が高く、聴覚閾値は低下(改善)します。両耳聴による3dB程度の閾値改善は、スピーカー追加による感度向上と同等です。
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【試験対策ポイント】
「両耳聴の利点」まとめ表:
| 利点 | 説明 | 周波数依存性 |
|---|---|---|
| 感度向上 | 閾値が3dB低下 | 全周波数 |
| 音源定位 | ITD・ILDで空間認知 | ITD低周波、ILD高周波 |
| 騒音下聴取 | カクテルパーティー効果 | 特に中高周波 |
| 両耳融合 | 周波数特性補正 | 全周波数 |
**頻出ポイント:**
- 「両耳聴=閾値改善」(上昇ではない)
- 上オリーブ核は脳幹レベルで初めての両耳統合部位
- ITD vs ILD:低周波 vs 高周波の棲み分け
- 「閾値上昇」「閾値低下」は反対語→本問の陷阱