STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第125問

学習心理学第25回
自由再生の系列位置効果について正しいのはどれか
  1. 1.記憶の多重貯蔵庫モデルで説明される ✓
  2. 2.Ebbinghaus,H.が報告した
  3. 3.系列中間部の成績が良い
  4. 4.リストの提示速度を速くすると系列最終部の成績が大きく変化する
  5. 5.再生課題の前に妨害課題を行うと系列初頭部の成績が大きく変化する

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — 記憶の多重貯蔵庫モデルで説明される 系列位置効果は、自由再生時に系列初頭部(初頭効果)と系列最終部(最新効果)の成績が良く、中間部の成績が悪くなる現象です。これは短期記憶と長期記憶の異なるメカニズムを示す証拠として、Atkinson & Shiffrinの多重貯蔵庫モデルで説明されます。初頭部はリハーサルにより長期記憶に転送され、最終部は短期記憶に残存しているためです。 --- 【各選択肢の解説】 1. 記憶の多重貯蔵庫モデルで説明される ✅ 正しい。系列位置効果は短期記憶と長期記憶の存在を示す重要な証拠で、Atkinson & Shiffrinの多重貯蔵庫モデルの中核となる実験事実です。初頭効果(長期記憶)と最新効果(短期記憶)の分離が説明できます。 2. Ebbinghaus,H.が報告した ❌ 誤り。Ebbinghaus(エビングハウス)は無意味音節を用いた忘却曲線の研究で有名ですが、系列位置効果の発見者ではありません。系列位置効果はBensonら(1962年頃)やその後の認知心理学者によって体系的に研究されました。 3. 系列中間部の成績が良い ❌ 誤り。系列位置効果の特徴は「中間部の成績が最も悪い」ことです。初頭部(初頭効果)と最終部(最新効果)が高く、中間部が低い、U字型またはボウ型の曲線を示します。 4. リストの提示速度を速くすると系列最終部の成績が大きく変化する ❌ 誤り。提示速度を速くするとリハーサルの機会が減り、系列初頭部の成績が低下します。系列最終部(最新効果)は短期記憶に依存するため、提示速度の変化に比較的安定しています。 5. 再生課題の前に妨害課題を行うと系列初頭部の成績が大きく変化する ❌ 誤り。妨害課題(算数計算など)を挿入すると短期記憶の内容がクリアされ、系列最終部(最新効果)が消失します。系列初頭部は長期記憶に転送済みなため、妨害課題の影響を受けにくいです。 --- 【試験対策ポイント】 系列位置効果の基本構造 | 構成要素 | 成績 | 関与する記憶 | 操作への感受性 | |---|---|---|---| | 系列初頭部 | 高い(初頭効果) | 長期記憶 | 妨害課題:影響なし / 提示速度:影響小 | | 系列中間部 | 低い | 両者とも不利 | 最も成績が悪い | | 系列最終部 | 高い(最新効果) | 短期記憶 | 妨害課題:消失 / 提示速度:比較的安定 | 重要否定知識 - Ebbinghaus ≠ 系列位置効果(忘却曲線が主) - 系列中間部が良い ✗(悪いが正解) - 最終部は「提示速度」で大きく変わる ✗(初頭部が変わる) 多重貯蔵庫モデルの役割 - 系列初頭部の効果:リハーサルにより情報が長期記憶へ移行 - 系列最終部の効果:直近の情報が短期記憶に保持されている - 妨害課題で最新効果が消失:短期記憶のクリア効果を示す
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