STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第128問

心理測定法第25回
用語の例または説明として誤っている組み合わせはどれか a.質的データー ― 名義尺度の水準の測定値 b.縦断的データー ― 様々な年齢群の人々を一斉に測定して得られる測定値 c.多変量解析 ― データー数が巨大な場合に用いられる分析 d.パス解析 ― 因果関係を仮定した分析 e.分散分析 ― 平均値の差の検定 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — b,c この問題は「心理測定法の重要用語」が正確に理解できているかを問う標準問題です。bとcの2つが誤っており、縦断データの定義と多変量解析の適用場面を混同しやすいポイントです。 --- 【各選択肢の解説】 a. 質的データ — 名義尺度の水準の測定値 ✅ 正しい。質的データは性別(男性/女性)、職種(医師/看護師)など、数値で表現できない性質を持つ属性データであり、名義尺度で測定されます。量的データ(間隔尺度・比率尺度)との対比で重要な概念です。 b. 縦断的データ — 様々な年齢群の人々を一斉に測定して得られる測定値 ❌ 誤り。この説明は「横断的データ」(cross-sectional data)の定義です。縦断的データ(longitudinal data)は同じ対象者を時間を追って繰り返し測定したものです。例:乳幼児の発達を3ヶ月ごと・12ヶ月間追跡測定する場合。横断的は異なる年齢の人を「一時点で」比較、縦断的は「同じ人を時系列で」追跡するという根本的な違いです。 c. 多変量解析 — データ数が巨大な場合に用いられる分析 ❌ 誤り。多変量解析の適用条件は「変数の数が多い場合」であり、「データ数が巨大」ではありません。多変量解析(重回帰分析・判別分析・因子分析など)は複数の独立変数や従属変数の関係を分析する手法です。ビッグデータ解析は別概念で、多変量解析と混同しやすい落とし穴です。 d. パス解析 — 因果関係を仮定した分析 ✅ 正しい。パス解析は変数間の因果構造を矢印で示し、因果関係を仮定して分析する統計手法です。構造方程式モデリング(SEM)の基礎となります。 e. 分散分析 — 平均値の差の検定 ✅ 正しい。分散分析(ANOVA)は3つ以上のグループ間の平均値の差を検定する手法で、帰無仮説は「各グループの母平均は等しい」です。群内変動と群間変動の分散比を用いて検定を行います。 --- 【試験対策ポイント】 縦断的 vs 横断的データの区別 | 特徴 | 縦断的(Longitudinal) | 横断的(Cross-sectional) | |---|---|---| | 測定対象 | 同じ人を繰り返し測定 | 異なる人を一時点で測定 | | 時間軸 | あり(追跡調査) | なし | | 例 | 発達追跡・コホート研究 | 健診・調査票 | | 長所 | 個人の変化を捉えられる | 効率的・迅速 | | 短所 | 時間・脱落のリスク | 世代効果と加齢効果を区別困難 | 多変量解析の正確な定義 ・複数の「独立変数」の効果を同時に検討する分析 ・例:身長・体重・栄養状態から言語発達を予測する重回帰分析 ・データ数の大小は選択基準ではなく、「変数の数」が多いことが条件 統計分析手法の分類 ・1つの従属変数 → 回帰分析・分散分析 ・複数の従属変数 → 正準相関分析・マルチレベル分析 ・変数間の因果構造 → パス解析・構造方程式モデリング
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