STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第14問

臨床神経学第25回
60歳男性。高血圧で治療中である。突然呼名に反応がなくなり、右上下肢の運動障害が生じ救急車で来院した。体温36.5度、血圧収縮期190mmHg 拡張期120mmHg、脈拍90/分 整、意識障害と右片麻痺を認める。最も疑わしい疾患はどれか。
  1. 1.肺炎
  2. 2.脳出血 ✓
  3. 3.ラクナ梗塞
  4. 4.正常圧水頭症
  5. 5.慢性硬膜下血腫

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 脳出血 急性発症の意識障害と片麻痺、高血圧患者という背景から、脳出血が最も疑わしい。脳出血は高血圧性脳出血として高血圧患者に好発し、突発的な神経学的欠落症状と意識障害が特徴である。収縮期190mmHgの著しい高血圧も脳出血の典型的な臨床像に合致している。 --- 【各選択肢の解説】 1. 肺炎 ❌ 誤り。肺炎は呼吸器感染症であり、意識障害や片麻痺などの神経学的欠落症状を直接的に引き起こさない。症状と臨床経過が全く異なる。 2. 脳出血 ✅ 正しい。高血圧患者の急性発症意識障害と右片麻痺、収縮期血圧190mmHgの高血圧が揃っている。脳出血は高血圧が主要な危険因子であり、特に被殻出血や視床出血では片側の片麻痺と意識障害が典型的である。 3. ラクナ梗塞 ❌ 誤り。ラクナ梗塞(細小血管性脳梗塞)は小さな脳梗塞であり、通常は意識障害を伴わない。本症例の「呼名に反応がない」という意識障害は、むしろ脳出血で見られる症状である。梗塞の場合は意識は通常保たれている。 4. 正常圧水頭症 ❌ 誤り。正常圧水頭症の発症は緩徐であり、認知機能低下・歩行障害・尿失禁の三徴候が特徴である。本症例の「突然」の発症と急性の意識障害は正常圧水頭症の臨床像に合致しない。 5. 慢性硬膜下血腫 ❌ 誤り。慢性硬膜下血腫は頭部外傷後数週間~数か月後に発症し、進行性の経過をたどる。本症例のような「突然」の急性発症は典型的でなく、また頭部外傷の既往が述べられていない。 --- 【試験対策ポイント】 脳出血 vs 脳梗塞の鑑別(急性脳卒中の病歴から) | 特徴 | 脳出血 | 脳梗塞 | |---|---|---| | 発症 | 急激(数分以内) | やや緩徐(数時間) | | 意識障害 | よく見られる | 稀(大梗塞は例外) | | 頭痛 | あり | なし | | 血圧 | 著しく上昇 | 通常~軽度上昇 | | 好発患者 | 高血圧患者 | 心疾患・糖尿病患者 | 脳出血の高リスク要因: - 高血圧(90%以上の脳出血患者) - 慢性腎臓病 - 脳アミロイドアンギオパチー 本症例で脳出血が疑わしい理由: - 高血圧患者という背景 - 突然の意識障害(脳幹圧迫・脳ヘルニア示唆) - 著しい血圧上昇(190/120) - 急性片麻痺 脳梗塞との重要な鑑別点:梗塞でも片麻痺は出現するが、意識障害を伴うのは脳梗塞では稀である。本症例の「呼名に反応がない」という意識障害は、出血による脳浮腫や脳幹圧迫を強く示唆する。
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