第25回 言語聴覚士国家試験 第161問
高次脳機能障害第25回
正しい組み合わせはどれか
a.都道府県の名前を言えた ― 展望記憶
b.久しぶりだったが泳ぐことができた ― 意味記憶
c.聞いた電話番号をその場でメモした ― 短期記憶
d.小学校6年生の夏休みの出来事を思い出した ― エピソード記憶
e.郵便ポストを見て手紙を投函することを思い出した ― 手続き記憶
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c,d
この問題は記憶の分類を正確に理解していることを求めています。長期記憶の下位分類(陳述記憶と非陳述記憶)と、各記憶タイプの定義を確実に区別する必要があります。特にエピソード記憶と意味記憶、手続き記憶と展望記憶の混同が誤答につながりやすいポイントです。
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【各選択肢の解説】
a. 都道府県の名前を言えた — 意味記憶
❌ 誤り。これは意味記憶(言語的知識)です。展望記憶は「未来の特定時点でやることを覚えている」という前向き記憶であり、地名知識とは異なります。展望記憶の例:「明日の15時に薬を飲む」と覚えている、など。
b. 久しぶりだったが泳ぐことができた — 手続き記憶
❌ 誤り。泳ぐスキルは手続き記憶(運動技能・手続き的知識)です。意味記憶は「冬の首都はどこか」「リンゴは果物である」など、意味的・事実的な知識を指します。本選択肢は意味記憶との誤った組み合わせです。
c. 聞いた電話番号をその場でメモした — 短期記憶
✅ 正しい。聞いたばかりの電話番号を数秒~数分保持して行動(メモ記入)する過程は、典型的な短期記憶の活動です。保持時間が短く、容量に制限があります(マジカルナンバー7±2)。
d. 小学校6年生の夏休みの出来事を思い出した — エピソード記憶
✅ 正しい。特定の時間・場所で経験した個人的出来事(いつ・どこで・何をした)を想起することはエピソード記憶の定義そのものです。時間的文脈を持つ個人的な経験です。
e. 郵便ポストを見て手紙を投函することを思い出した — 手続き記憶
❌ 誤り。郵便ポストという環境線索(キュー)に基づいて「手紙を投函する」という未来の予定を思い出すことは手続き記憶ではなく、展望記憶です。手続き記憶は「自転車に乗る」「泳ぐ」などの無意識的なスキルです。
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【試験対策ポイント】
記憶の分類体系
長期記憶
├─ 陳述記憶(意識的・言語化可能)
│ ├─ 意味記憶(事実・知識:首都・言語・常識)
│ └─ エピソード記憶(個人的経験:「昨日の朝食」)
└─ 非陳述記憶(無意識的・言語化困難)
├─ 手続き記憶(スキル・技能:自転車、泳ぎ)
└─ 潜在記憶(プライミング・条件づけ)
短期記憶の特徴
容量:7±2個(マジカルナンバー)
保持時間:数秒~30秒程度
機能:すぐに行動する情報の一時保持
例:電話番号を聞いて数秒間保持,迷路をたどる
展望記憶の特徴
「未来にやることを覚えている」=前向き記憶
環境線索(外的キュー)で想起
例:郵便ポスト見て「手紙出す」,朝目覚めて「薬飲む」
紛らわしい組み合わせ識別法
「スキルできた」→手続き記憶(意味記憶ではない)
「個人的出来事」→エピソード記憶(意味記憶ではない)
「将来やることを覚えた」→展望