第25回 言語聴覚士国家試験 第165問
言語発達障害学第25回
語用の障害が特徴とされるのはどれか
- 1.知的能力障害
- 2.限局性学習障害
- 3.小児期発症流暢障害
- 4.注意欠如・多動性障害
- 5.自閉症スペクトラム障害 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 自閉症スペクトラム障害
自閉症スペクトラム障害(ASD)の中核的特徴は「社会的コミュニケーションの困難」であり、特に語用(プラグマティクス)の障害が顕著です。言語形式は比較的保持されていても、文脈に応じた言語使用・相互的なやり取り・非言語的コミュニケーションに著しい困難を示します。
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【各選択肢の解説】
1. 知的能力障害
❌ 誤り。知的能力障害は「全般的な認知機能の低下」が特徴であり、語彙・文法などの言語体系が年相応より遅れます。語用の選択的障害ではなく、全体的な発達遅滞です。
2. 限局性学習障害
❌ 誤り。限局性学習障害は「読字・書字・計算」など特定の学習領域の困難が特徴です。言語体系の理解・産出能力は相対的に保持されており、語用の特異的障害ではありません。
3. 小児期発症流暢障害
❌ 誤り。吃音などの流暢障害は「音声産出の リズムと流暢性」の問題であり、語用障害ではありません。文脈理解やコミュニケーション意図の理解は通常保持されています。
4. 注意欠如・多動性障害
❌ 誤り。ADHDは「注意機能・実行機能・衝動性制御」の問題が中心です。言語体系や語用は通常保持されていますが、一部で社会的相互作用の未熟さを示すことはあります。
5. 自閉症スペクトラム障害
✅ 正しい。ASDの診断基準には「社会的コミュニケーション・相互作用の持続的パターンの障害」が含まれ、具体的には会話のターンテイク不全・話題の融通性欠如・非言語的コミュニケーション困難などの語用障害が該当します。
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【試験対策ポイント】
語用(プラグマティクス)とは
- 定義:文脈に応じた言語の「使用方法」
- 具体例:ターンテイク・話題管理・敬語使い分け・非言語行動の調整
各障害の言語特徴の違い
| 障害 | 言語体系 | 語用 | 流暢性 |
|---|---|---|---|
| 知的能力障害 | 遅延 | 遅延 | 保持 |
| 限局性学習障害 | 保持 | 保持 | 保持 |
| 吃音 | 保持 | 保持 | 低下 |
| ADHD | 保持 | 未熟な傾向 | 保持 |
| ASD | 保持または遅延 | **著しく低下** | 保持 |
ASDにおける言語特徴
- 形式的な言語能力は相対的に保持(エコラリア・自動詞的発話の多用は例外)
- 相手の視点取得困難→共有意識の障害
- 文字通りの解釈→暗喩・冗談理解困難