STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第166問

言語発達障害学第25回
注意欠如・多動性障害について正しいのはどれか
  1. 1.有症率に男女差はない
  2. 2.3歳以前に徴候がみられる
  3. 3.女児では多動性優勢状態が多い
  4. 4.順序立てて活動することが難しい ✓
  5. 5.反響言語を認める

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 順序立てて活動することが難しい ADHD(注意欠如・多動性障害)の中核的な認知機能障害は、実行機能(executive function)の低下です。順序立てて活動を計画・実行する能力、複数の段階を含む課題を組織化する能力が低下するため、この選択肢が正しいです。 --- 【各選択肢の解説】 1. 有症率に男女差はない ❌ 誤り。ADHDは男児で有症率が2~4倍高いとされています。特に多動性・衝動性優勢型は男児に圧倒的に多く、診断の男女比は3:1~9:1です。 2. 3歳以前に徴候がみられる ❌ 誤り。DSM-5の診断基準では「症状の発症は12歳以前」と規定されており、3歳以前の診断は実際には困難です。多くの場合、就学後に学習場面で顕在化します。症状は12歳までに出現していることが条件ですが、診断は通常4~7歳以降です。 3. 女児では多動性優勢状態が多い ❌ 誤り。むしろ女児では不注意優勢型が相対的に多いとされています。女児は多動性や衝動性が目立たず、内在化された不注意(気が散る、忘れっぽい、整理整頓が苦手)として現れることが多いため、過少診断される傾向があります。 4. 順序立てて活動することが難しい ✅ 正しい。実行機能障害によって、計画立案・段階化・順序づけ・活動の監視が困難になります。宿題を計画立てて進める、複数の指示を順序立てて実行するといった課題で特に困難が顕著です。 5. 反響言語を認める ❌ 誤り。反響言語(echolalia)は自閉スペクトラム症(ASD)の言語特徴であり、ADHDの特異的な症状ではありません。ADHDでも見られることはありますが、診断的特異性がなく、むしろASDスクリーニングの重要な徴候です。 --- 【試験対策ポイント】 ADHDと他の発達障害の鑑別: | 特徴 | ADHD | ASD | LD | |---|---|---|---| | 実行機能障害 | ◎ | △ | × | | 社会的相互作用の困難 | △ | ◎ | × | | 反響言語 | × | ◎ | × | | 限定的興味 | △ | ◎ | × | | 注意転導 | ◎ | × | △ | | 衝動性制御困難 | ◎ | △ | × | ADHDの3つの優勢型: 1. 不注意優勢型:女児に相対的に多い 2. 多動性・衝動性優勢型:男児に多い、幼少期に顕著 3. 混合型:最も有症率が高い ADHDの実行機能障害が影響する領域: - 計画立案・段階化 - 時間管理・期限管理 - ワーキングメモリ - 反応抑制・衝動制御 - 自己監視 注意すべき診断基準(DSM-5): - 発症:12歳以前(3歳以前ではない) - 症状の持続期間:6ヶ月以上 - 複数場面での症状出現(家庭・学校・医院など) - 機能障害の証拠が必須
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