第25回 言語聴覚士国家試験 第172問
言語発達障害学第25回
AACの学習プログラムで適切なのはどれか
- 1.スモールステップにとらわれずに学習する
- 2.発信よりも受信の課題を優先して学習する
- 3.容易な記号を経由して、目標とする記号を学習する ✓
- 4.身近にない未経験の語彙をできるだけ選択して学習する
- 5.初期導入では不快な状況を回避する行動を優先して学習する
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 容易な記号を経由して、目標とする記号を学習する
AAC(拡大代替コミュニケーション)の学習プログラムは、利用者が確実に習得できるよう段階的かつ体系的に設計される必要があります。より容易な記号から段階的に学習を進め、最終的に目標とする記号に到達するスモールステップの原則が基本です。これは学習効率を高め、利用者の動機付けを維持するために重要です。
---
【各選択肢の解説】
1. スモールステップにとらわれずに学習する
❌ 誤り。AAC学習ではスモールステップが最も重要な原則の一つです。利用者の習得水準に合わせた細かい段階的学習を行うことで、挫折を防ぎ、確実な習得につながります。段階を飛ばすと理解が不十分となり、学習が失敗しやすくなります。
2. 発信よりも受信の課題を優先して学習する
❌ 誤り。AACの学習では「発信機能」の獲得が最終目標であり、発信を優先して学習します。受信能力は基盤として必要ですが、AAC導入の目的は「表現・発信能力の拡大」であるため、発信課題を中心に進める必要があります。
3. 容易な記号を経由して、目標とする記号を学習する
✅ 正しい。AAC学習の基本的なアプローチです。利用者の現在の能力レベルより低い位置から開始し、獲得しやすい記号(例:黒白のシンボル→色付きシンボル→文字)を経由して、段階的に目標記号に到達させます。これは学習効率と動機付けを最適化します。
4. 身近にない未経験の語彙をできるだけ選択して学習する
❌ 誤り。AAC学習では「身近で実経験のある語彙」から開始することが重要です。利用者が既に理解している、日常生活で遭遇する語彙(食べ物、家族、遊びなど)から学習を開始することで、記号と意味の関連付けが容易になります。
5. 初期導入では不快な状況を回避する行動を優先して学習する
✅ 正しい概念だが、適切性は他と比較して低い。実際には「喜びや肯定的な欲求(好きなもの・人を要求する)」から導入することが推奨されています。不快回避は二次的なものであり、初期導入では高い動機付けが得られる肯定的なコミュニケーション機能から始めることが効果的です。
---
【試験対策ポイント】
表:AAC学習プログラムの基本原則
| 原則 | 内容 | 重要度 |
|---|---|---|
| スモールステップ | 細かい段階的学習 | 最高 |
| 段階的記号導入 | 簡単→目標記号 | 最高 |
| 実経験・身近さ重視 | 日常語彙から開始 | 高 |
| 発信機能優先 | 表現・要求を中心に | 高 |
| 肯定的動機付け | 好きなもの・人から | 高 |
キーワード:「スモールステップ」「段階的」「身近」「発信」「肯定的機能」
紛らわしい点:選択肢5(不快回避)は学習内容として間違いではありませんが、「初期導入」の優先順位として適切ではありません。初期導入は喜びや要求などの「肯定的で強い動機付けがある機能」から進めることが標準的です。