STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第180問

運動障害性構音障害第25回
手術後の構音障害について誤っているのはどれか
  1. 1.舌根部1/2以上の切除によって不良となる
  2. 2.舌亜全摘術後には代償構音訓練が適応となる
  3. 3.中咽頭前壁、側壁、上壁の合併切除によって不良となる
  4. 4.中咽頭側壁、上壁の再建目標は鼻咽腔閉鎖不全の防止である
  5. 5.舌亜全摘術後の再建では、移植皮弁を扁平にすると良好である ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 舌亜全摘術後の再建では、移植皮弁を扁平にすると良好である 舌亜全摘術後の再建目標は「構音機能の回復」であり、移植皮弁は厚みを保つことが重要です。皮弁を扁平にすると可動性が低下し、残存組織との接触不良となり、むしろ構音が悪化します。本選択肢は「扁平にするとよい」と述べている点で誤りです。 --- 【各選択肢の解説】 1. 舌根部1/2以上の切除によって不良となる ✅ 正しい。舌根部は咽頭音(/k/、/g/など)の形成に重要であり、1/2以上の切除により舌根部の上昇運動が著しく制限され、咽頭音が不良となります。 2. 舌亜全摘術後には代償構音訓練が適応となる ✅ 正しい。舌亜全摘では残存舌組織が極めて限定されるため、残存する口腔・咽頭構造(口唇、上下歯列、咽頭壁など)を最大限活用する代償構音訓練が必須です。 3. 中咽頭前壁、側壁、上壁の合併切除によって不良となる ✅ 正しい。これらの部位は咽頭共鳴腔の形成に関与し、合併切除によって共鳴特性が変化し、構音が悪化します。特に鼻腔共鳴の異常(開鼻声など)が生じやすくなります。 4. 中咽頭側壁、上壁の再建目標は鼻咽腔閉鎖不全の防止である ✅ 正しい。中咽頭側壁・上壁の切除後の再建では、鼻咽腔の正常な閉鎖機構を復元することが最優先目標です。これにより開鼻声や鼻漏出を防止します。 5. 舌亜全摘術後の再建では、移植皮弁を扁平にすると良好である ❌ 誤り。舌亜全摘後の再建では、移植皮弁に「適切な厚み」を持たせることが必須です。厚みがあることで可動性が保たれ、残存組織との接触が良好になり、結果として構音が改善します。扁平化は可動性を阻害し、むしろ構音を悪化させます。 --- 【試験対策ポイント】 手術後構音障害の重要なポイント: | 手術部位 | 失われる機能 | 構音への影響 | |---|---|---| | 舌根部1/2↑ | 舌根部上昇 | 咽頭音(/k/、/g/)が最も不良 | | 舌亜全摘 | ほぼ全舌機能 | 代償構音訓練が必須;多くの子音が悪化 | | 中咽頭(前・側・上壁) | 咽頭共鳴腔 | 開鼻声・共鳴特性変化 | | 中咽頭(側・上壁) | 鼻咽腔弁 | 鼻咽腔閉鎖不全→開鼻声・鼻漏出 | 再建の原則: - 舌の再建:「厚み+可動性」が必須 - 中咽頭の再建:「鼻咽腔閉鎖機構の復元」が最優先 - 扁平化は避けるべき(本問のキーポイント) 紛らわしい知識: - 「皮弁を薄くする」と「手術直後の浮腫軽減」と混同しやすいが、最終的な再建目標は「適切な厚みの維持」です。
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