第25回 言語聴覚士国家試験 第185問
嚥下障害第25回
80歳の女性。すべての食物形態で不顕性誤嚥と咽頭残留を指摘されている。摂食訓練時に推奨する姿勢はどれか。
- 1.側臥位 ✓
- 2.仰臥位
- 3.腹臥位
- 4.直立座位
- 5.前傾座位
正答:1番
解説
# 第25回 第185問 解説
■ 正答:1番 — 側臥位
すべての食物形態で不顕性誤嚥と咽頭残留を認める重度嚥下障害例では、通常の座位摂食では誤嚥リスクが高く安全に経口摂取ができません。このような症例には**側臥位(完全側臥位法)**が推奨されます。側臥位では重力の影響で咽頭残留物が気管に流入しにくくなり、梨状窩に貯留した食塊も誤嚥しにくい位置関係となるため、不顕性誤嚥を有する高齢者の摂食訓練に有効です。
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【各選択肢の解説】
1. 側臥位
✅ 正しい。完全側臥位では咽頭と気管の位置関係が変化し、咽頭残留物が気管入口部に落ち込みにくくなります。重力により食塊は下側の咽頭側壁を通過し、気道への流入リスクが低下します。不顕性誤嚥・咽頭残留が顕著な症例に対する代表的な代償的嚥下法です。
2. 仰臥位
❌ 誤り。仰臥位単独では気管が咽頭の下方に位置し、咽頭残留物がそのまま気管に流入しやすくなります。通常はリクライニング位(30〜60度)として用いられ、完全仰臥位は摂食姿勢として推奨されません。
3. 腹臥位
❌ 誤り。腹臥位は摂食動作が不可能であり、臨床的に用いられません。
4. 直立座位
❌ 誤り。直立座位は嚥下機能が比較的保たれた症例の標準姿勢ですが、本症例のようにすべての食形態で不顕性誤嚥と咽頭残留を認める重度例では、座位で摂取させると誤嚥が避けられません。
5. 前傾座位
❌ 誤り。前傾座位や頸部前屈は軽度〜中等度の嚥下障害で有効ですが、不顕性誤嚥が全食形態で認められる重症例では不十分です。
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【試験対策ポイント】
**完全側臥位法**は、重度嚥下障害患者の摂食訓練で頻出のキーワードです。以下の特徴を押さえましょう。
- **適応**:咽頭残留が多い/不顕性誤嚥がある/通常の座位では誤嚥を防げない重症例
- **原理**:重力の向きを変えることで、咽頭残留物が気管入口部に落ち込まない位置関係を作る
- 食塊は**下側の咽頭側壁**を通過するため、梨状窩残留があっても誤嚥しにくい
- **頸部回旋法**(咽頭麻痺側に回旋し健側を通過させる)との違いに注意
姿勢別の適応整理:
| 姿勢 | 主な適応 |
|---|---|
| 直立座位・前傾座位 | 軽度〜中等度、誤嚥軽微 |
| リクライニング位(30〜60度) | 送り込み障害、口腔期障害 |
| **側臥位(完全側臥位)** | **重度咽頭残留・不顕性誤嚥** |
| 頸部回旋 | 一側性咽頭麻痺 |
「全食形態で不顕性誤嚥+咽頭残留」というキーワードを見たら**側臥位**と即答できるようにしておきましょう。