STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第186問

耳鼻咽喉科学第25回
気管切開について正しいのはどれか a.緊急時にのみ行う b.人工呼吸器に接続できる c.喀痰吸引が目的の一つである d.喉頭機能が正常ならバルブを用いて発声できる e.カフはカニューレを気管内に固定するために用いる 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — b,c,d 気管切開は緊急時だけでなく長期的な呼吸・喀痰管理を目的として行われます。人工呼吸器接続、喀痰吸引の容易化、喉頭機能が残存していればバルブで発声も可能です。一方、カフは気管内に固定するのではなく、気道確保と誤嚥防止を目的とした密閉機構です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 緊急時にのみ行う ❌ 誤り。気管切開は急性喉頭蓋炎などの緊急対応に用いられる場合もありますが、むしろ長期的な呼吸管理(脳卒中後遺症、ALS、脊髄損傷など)や喀痰吸引の容易化を目的とした計画的な処置が主流です。むしろ「緊急時のみ」という限定は過度に狭い。 b. 人工呼吸器に接続できる ✅ 正しい。気管切開によって気管カニューレが気管内に位置し、人工呼吸器チューブを直接接続できます。経口・経鼻挿管よりも長期的な呼吸管理に適しており、気管切開患者の多くは呼吸障害への対応が目的です。 c. 喀痰吸引が目的の一つである ✅ 正しい。気管切開により気道が直接開放されるため、喀痰吸引が容易になります。特に脳卒中後遺症や神経筋疾患で嚥下障害と並行して気道分泌物管理が課題となる患者では重要な目的です。 d. 喉頭機能が正常ならバルブを用いて発声できる ✅ 正しい。喉頭機能が保持されていれば、気管切開後のバルブ(スピーキングバルブ:呼気時のみ声門を通す一方向弁)を装着することで発声が可能です。完全な喉頭機能喪失でなければ音声生成可能。 e. カフはカニューレを気管内に固定するために用いる ❌ 誤り。カフ(cuff)の役割は「気管内への固定」ではなく「気道確保と誤嚥防止」です。カニューレ自体の固定はネック固定テープで行われます。カフは膨らまされて気管壁と密閉し、人工呼吸器装着時の気漏れ防止や喀痰の気管への流入を防ぐ機能を持ちます。 --- 【試験対策ポイント】 気管切開の基本機能・目的: | 項目 | 内容 | |---|---| | 適応 | 長期呼吸管理、喀痰管理困難例、嚥下障害合併例 | | 緊急性 | 計画的処置が多い(緊急対応は一部) | | カニューレ固定 | ネック固定テープ | | カフ機能 | 気道密閉・誤嚥防止 | | 発声 | スピーキングバルブで喉頭機能保存例は発声可能 | | 人工呼吸器 | 直接接続可能 | | 喀痰吸引 | 気道開放により容易 | 紛らわしい点:「固定」という語が出ると「カフが固定する」と誤読しやすいが、カフは密閉機構であり固定機構ではない。
関連

▶ 第25回 全問一覧

▶ 耳鼻咽喉科学 の過去問一覧