第25回 言語聴覚士国家試験 第190問
聴力検査第25回
聴性行動反応聴力検査(BOA)について正しいのはどれか
a.軽度難聴を検出できる
b.左右別の聴力検査ができる
c.条件反応を形成して行う
d.楽器や音声などを使う
e.生後0か月から実施できる
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d,e(楽器や音声などを使う、生後0か月から実施できる)
BOA(Behavioral Observation Audiometry:聴性行動反応聴力検査)は、乳幼児の聴覚スクリーニングに用いられる検査法です。音刺激に対する自発的な行動反応(頭転向、吸啜反射の変化、覚醒など)を観察して聴力を評価するもので、条件づけを必要としない非条件反応を利用しています。
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【各選択肢の解説】
a. 軽度難聴を検出できる
❌ 誤り。BOAは行動観察による検査のため、検出可能な聴力レベルに限界があります。通常50dB程度以上の音刺激が必要であり、軽度難聴(20~40dB)の検出には不適切です。軽度難聴の検出には他覚的検査(ABR、OAE)が用いられます。
b. 左右別の聴力検査ができる
❌ 誤り。BOAは両耳への音刺激が同時に入力される検査のため、左右別測定(両耳分離検査)ができません。複数の刺激位置を用いても、正確な左右差の判定は困難です。
c. 条件反応を形成して行う
❌ 誤り。BOAは条件反応形成を用いません。むしろ乳幼児が生来備えている無条件反応(頭転向反射、吸啜反射の一時停止など)を利用して検査を行うことが特徴です。条件づけを用いるのはCOR(条件探索反応聴力検査)です。
d. 楽器や音声などを使う
✅ 正しい。BOAは様々な音刺激(楽器音、スピーチバビル、純音刺激など)を使用して、乳幼児の行動反応を観察します。刺激の種類に制限がなく柔軟性が高いことが利点です。
e. 生後0か月から実施できる
✅ 正しい。BOAは新生児・乳児健診の時点から実施可能な検査法です。生後早期の聴覚スクリーニングとして活用され、特に新生児聴覚スクリーニング(NHS)では不通過児の確認検査としても用いられます。
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【試験対策ポイント】
乳幼児聴力検査法の比較表
| 検査法 | BOA | COR | ABR | OAE |
|---|---|---|---|---|
| **検査時期** | 生後0か月~ | 生後6~30か月 | 生後0か月~ | 生後0か月~ |
| **条件づけ** | 不要(無条件反応利用) | 必要(条件反応形成) | 不要(脳波) | 不要(物理現象) |
| **両耳分離** | 困難 | 可能 | 可能 | 困難 |
| **検出可能聴力** | 50dB以上 | 20dB以上 | 20dB以上 | 20dB以上 |
| **刺激音** | 多様(音声・楽器など) | 純音・狭帯域音 | クリック音 | クリック音など |
| **操作者技量** | 高度な技能必要 | 中程度 | 低程度 | 低程度 |
重要な否定知識:
- BOAは「他覚的検査」ではなく「行動観察による主観的検査」
- 「軽度難聴検出」は得意ではなく、むしろ中等度以上が対象
- CORとの区別:COR=条件づけ必須、生後6か月以降必要
Newborn Hearing Screening(NHS)での位置づけ:
- 初期スクリーニング:OAE
- 不通過児の確認検査:BOA、ABR
- 確定診断:ABR+