STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第22問

聴覚系第25回
補充現象が陽性となる障害部位はどれか
  1. 1.鼓膜
  2. 2.コルチ器 ✓
  3. 3.アブミ骨
  4. 4.蝸牛神経
  5. 5.耳石器

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — コルチ器 補充現象(recruitment)は、感音難聴においてのみ陽性となる現象です。コルチ器(内有毛細胞)を含む蝸牛の感覚受容体障害で生じます。小さな音量では聞こえませんが、音量を上げるとその不快感や大きさの感じ方が正常者と同程度になる特徴的な症状です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 鼓膜 ❌ 誤り。鼓膜は伝音系の構造物であり、伝音難聴の原因となります。補充現象は伝音難聴では発生しません。伝音難聴では音声レベルが上昇しても不快感が生じにくいため補充現象は陰性です。 2. コルチ器 ✅ 正しい。コルチ器の有毛細胞が障害されると感音難聴が生じ、補充現象が陽性となります。これは内有毛細胞の動的圧縮機能が失われ、神経繊維の広がった応答域で大音量に反応するためです。 3. アブミ骨 ❌ 誤り。アブミ骨は耳小骨の一部で伝音系に含まれ、伝音難聴の原因となります。アブミ骨固着症(耳硬化症)は典型的な伝音難聴であり、補充現象は陰性です。 4. 蝸牛神経 ❌ 誤り。蝸牛神経は後迷路性(神経性)障害の原因となります。後迷路性難聴では補充現象は陰性です。むしろ音声弁別能の低下が特徴的で、音量を上げても聞き取りは改善しません。 5. 耳石器 ❌ 誤り。耳石器(球形嚢・卵形嚢)は前庭系に属し、聴覚ではなく平衡覚に関連しています。補充現象とは無関係です。 --- 【試験対策ポイント】 補充現象の特徴(試験頻出) | 項目 | 伝音難聴 | 感音難聴(内耳性) | 後迷路性難聴 | |---|---|---|---| | **補充現象** | 陰性 | **陽性** | 陰性 | | **音声弁別能** | 良好 | 良好 | 低下 | | **原因部位** | 鼓膜・耳小骨 | コルチ器・有毛細胞 | 蝸牛神経以下 | | **聴力改善の可能性** | 手術で改善可能 | 不可逆的 | 不可逆的 | 難聴の鑑別ポイント - 補充現象陽性=感音難聴(内耳性)と確定 - 蝸牛神経より中枢の障害では補充現象は陰性 - アブミ骨固着症:導電率(スティフネス)低下→補充現象陰性 - 有毛細胞障害:周波数別感度差が生じやすい→補充現象陽性が明確に出現 鑑別方法(臨床検査) - **補充現象検査**:Luecke法・Fowler法で評価 - **ティンパノメトリー**:伝音系の可動性を評価 - **言語明瞭度検査**:後迷路性障害を鑑別
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