第25回 言語聴覚士国家試験 第52問
医学総論第25回
障碍者の意向を優先すると、障害者の生命に危険が及ぶ。この倫理的ジレンマはどの倫理原則の間に生じているか。
a.自律尊重
b.悪不履行(無害性)
c.善行
d.正義・公平
e.倫理的調整
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — a.自律尊重 と b.悪不履行(無害性)
この問題は医学・医療倫理の4原則における対立構造を問うています。「障害者の意向を優先する(自律尊重の尊重)」と「生命危険から守る(無害性)」という2つの倫理原則が相互に矛盾する状況が典型的なジレンマです。この場合、a と b の対立が中核を成しています。
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【各選択肢の解説】
a.自律尊重
✅ 正しい。患者・障害者の自己決定権・意向を尊重する倫理原則です。本問で「障害者の意向を優先する」という要素は、まさにこの自律尊重原則に基づいています。
b.悪不履行(無害性)
✅ 正しい。患者に危害を加えないべき(ファースト・ドゥ・ノー・ハーム)という倫理原則です。本問の「障害者の生命に危険が及ぶ」ことを防ぐべきという要素は、この原則に該当します。a と b の対立が本問のジレンマの本質です。
c.善行
❌ 誤り。患者の利益を最大化させようとする原則(利益原則)です。本問の対立軸は「自律尊重」と「無害性」の間にあり、善行は主要な役割を果たしていません。
d.正義・公平
❌ 誤り。医療資源の配分や平等な扱いに関する原則です。本問では資源配分や公平性の問題ではなく、個別の意向と安全性の対立が焦点であり、不適切です。
e.倫理的調整
❌ 誤り。「倫理的調整」は正式な4原則に含まれない概念です。Beauchamp & Childressが提唱する医学倫理の4原則は「自律尊重・無害性・善行・正義」であり、e は標準的な原則体系に存在しません。
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【試験対策ポイント】
医学倫理4原則(Beauchamp & Childress)
| 原則 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 自律尊重 | 患者の自己決定権・意向尊重 | インフォームドコンセント |
| 無害性 | 患者に危害を加えない | 安全管理・リスク回避 |
| 善行 | 患者の利益最大化 | 最適な治療提供 |
| 正義・公平 | 医療資源の公正配分 | 平等なアクセス |
典型的なジレンマパターン
・「本人の意向」vs「生命安全」→ a vs b
・「利益最大化」vs「資源公平配分」→ c vs d
・「個人の権利」vs「公共の利益」→ a vs d
本問のポイント
「障害者の意向を優先」(自律尊重)が「生命危険」(無害性)をもたらすジレンマなので、a と b の対立が正解の根拠となります。正答が「1番:a,b」である理由は、この2つの原則が相互に対立する関係にあるからです。