STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第55問

失語症第25回
前大脳動脈領域の梗塞で出現する失語型はどれか
  1. 1.伝導失語
  2. 2.ブローカ失語
  3. 3.ウェルニッケ失語
  4. 4.超皮質性感覚失語
  5. 5.超皮質性運動失語 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 超皮質性運動失語 前大脳動脈(ACA)領域の梗塞では、ブローカ野よりも前方の補足運動野や前頭前野背外側部が障害される。これにより超皮質性運動失語が出現する。ブローカ野障害(選択肢2)は中大脳動脈(MCA)領域の梗塞で起こるため異なる。 --- 【各選択肢の解説】 1. 伝導失語 ❌ 誤り。伝導失語は上側頭回(Wernicke野)と下前頭回(Broca野)を結ぶ弓状束の損傷で起こる。脳血管領域としてはMCA領域の深部から島皮質領域の障害を示唆し、ACA領域の梗塞では通常出現しない。 2. ブローカ失語 ❌ 誤り。ブローカ失語はブローカ野(下前頭回)の損傷で起こり、MCA領域の梗塞で典型的に出現する。ACA領域はブローカ野よりも前上方に位置するため、ブローカ失語ではなく超皮質性の失語が生じる。 3. ウェルニッケ失語 ❌ 誤り。ウェルニッケ失語はWernicke野(上側頭回)の損傷で起こり、MCA領域(特に下側頭葉)の梗塞で出現する。ACA領域の梗塞では側頭葉が障害されないため、このタイプは起こらない。 4. 超皮質性感覚失語 ❌ 誤り。超皮質性感覚失語はWernicke野の後方(角回~側頭後部の言語周辺領域)の障害で起こり、MCA領域の後方の梗塞に関連する。ACA領域の梗塞ではこの領域は障害されない。 5. 超皮質性運動失語 ✅ 正しい。ACA領域の梗塞では、ブローカ野より前方の補足運動野(SMA:supplementary motor area)や前頭前野背外側部が損傷される。この領域障害により、非流暢だが理解と復唱は比較的保持される超皮質性運動失語が出現する。 --- 【試験対策ポイント】 脳梗塞の部位と失語型の関係 | 脳血管領域 | 障害部位 | 出現する失語型 | |---|---|---| | MCA(主に上下前頭回) | ブローカ野 | ブローカ失語 | | MCA(主に上側頭回) | Wernicke野 | ウェルニッケ失語 | | MCA(弓状束) | 皮質下の連絡線維 | 伝導失語 | | ACA(補足運動野・前頭前野背外側) | 前頭前野 | 超皮質性運動失語 | | PCA(角回~側頭後部) | 言語周辺領域 | 超皮質性感覚失語 | 超皮質性失語の鑑別(復唱で判定) | 失語型 | 流暢性 | 理解 | 復唱 | 特徴 | |---|---|---|---|---| | 超皮質性運動失語 | 非流暢 | 良好 | 良好 | 発話意欲低下。「反響言語」可 | | 超皮質性感覚失語 | 流暢 | 不良 | 良好 | 理解不全だが復唱できる逆説的所見 | 重要な区別 - ブローカ失語 vs 超皮質性運動失語:どちらも「非流暢」だが、前者は「復唱不良」、後者は「復唱良好」 - ACA領域梗塞=前方の梗塞=超皮質性運動失語 - MCA
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