第25回 言語聴覚士国家試験 第56問
失語症第25回
失語症に合併しやすいのはどれか
- 1.片麻痺の病態失認
- 2.観念運動性失行 ✓
- 3.半側空間無視
- 4.街並失認
- 5.相貌失認
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 観念運動性失行
失語症は優位半球の言語中枢を含む領域の損傷によって生じますが、同領域には運動企画や高次運動制御に関わる皮質領域も存在するため、観念運動性失行(ideomotor apraxia)が合併しやすいです。特にBroca失語では左下前頭葉の損傷により観念運動性失行を伴うことが多くあります。
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【各選択肢の解説】
1. 片麻痺の病態失認
❌ 誤り。病態失認(anosognosia)は右半球損傷、特に右頭頂葉の損傷で生じます。自分の麻痺や認知機能低下を認識できない症状です。失語症は左優位半球損傷により生じるため、病態失認の機序が異なります。
2. 観念運動性失行
✅ 正しい。失語症の病変部位(特にBroca領域周辺)は運動企画に関わる領域と重複しており、言語障害と同時に観念運動性失行(物の使用方法や象徴的動作ができない)が合併しやすいです。これは失語症患者の20~50%に認められます。
3. 半側空間無視
❌ 誤り。半側空間無視は右半球損傷、特に右頭頂葉や側頭葉後部の損傷で生じる注意障害です。失語症の主要病変である左優位半球言語領域の損傷とは異なります。
4. 街並失認
❌ 誤り。街並失認(環境失認)は右半球、特に右海馬や空間認知に関わる領域の損傷で生じます。失語症の病変部位と異なるため合併しません。
5. 相貌失認
❌ 誤り。相貌失認は両側側頭葉の紡錘状回など、顔認識に特化した領域の損傷で生じます。失語症の主要病変部位(左優位半球言語領域)とは異なり、合併は稀です。
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【試験対策ポイント】
失語症の病変部位と合併しやすい高次脳機能障害
| 高次脳機能障害 | 主な病変部位 | 失語症との合併頻度 |
|---|---|---|
| 観念運動性失行 | 左下前頭葉・頭頂葉 | ★★★ 高い |
| 観念失行 | 左優位半球全般 | ★★★ 高い |
| 構成失行 | 右頭頂葉 | ★ 低い |
| 半側空間無視 | 右頭頂葉・側頭葉 | ★ 低い |
| 病態失認 | 右頭頂葉 | ★ 低い |
| 相貌失認 | 両側側頭葉紡錘状回 | ★ 低い |
| 街並失認 | 右海馬・空間領域 | ★ 低い |
重要知識:失語症=左優位半球言語領域の損傷
→ 同領域内の「運動企画領域」も障害される可能性が高い
→ したがって「観念運動性失行」「観念失行」が合併しやすい
一方、右半球損傷で生じる症状(半側空間無視・病態失認・相貌失認・街並失認)は失語症とは原則異なる病変部位であるため、合併は稀です。