第25回 言語聴覚士国家試験 第57問
失語症第25回
失語症者の復唱成績を低下させる要因でないのはどれか
- 1.文字ー音韻変換能力の障害 ✓
- 2.音韻性錯語
- 3.語音認知の障害
- 4.発語失行
- 5.聴覚言語性短期記憶の障害
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 文字ー音韻変換能力の障害
復唱は「聴いた言葉をそのまま繰り返す」という課題であり、文字処理を経由しません。文字ー音韻変換能力は黙読や音読時に機能する機構であるため、復唱成績に直接的な悪影響を与えません。
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【各選択肢の解説】
1. 文字ー音韻変換能力の障害
✅ 正しい(=復唱成績を低下させない)。復唱は「聴覚入力→即座に発語出力」という経路であり、文字処理は関与しません。文字ー音韻変換能力は音読や黙読に関与する機構です。
2. 音韻性錯語
❌ 誤り(=復唱成績を低下させる)。音韻性錯語(例:「りんご」→「りんぎ」)は、音韻体系に基づく誤った音の置換です。復唱時に音韻表象の保持や検索に障害があれば、このような錯語が生じて復唱成績が低下します。
3. 語音認知の障害
❌ 誤り(=復唱成績を低下させる)。復唱の最初の段階は「聴いた音声を言語音として認知する」ことです。語音認知に障害があれば、入力段階で情報が歪み、正確な復唱ができません。
4. 発語失行
❌ 誤り(=復唱成績を低下させる)。発語失行は「音韻配列を運動プログラムに変換する過程の障害」です。聴覚入力・言語体系は保持されていても、発語運動の実行段階で障害が生じるため、復唱成績を著しく低下させます。
5. 聴覚言語性短期記憶の障害
❌ 誤り(=復唱成績を低下させる)。復唱時は、聴いた音声情報を数秒間保持する必要があります。短期記憶容量が低下していると、特に長い文や複雑な構造の文の復唱が困難になります。
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【試験対策ポイント】
復唱に関与する3つの段階と障害要因:
| 段階 | 機能 | 障害があると |
|---|---|---|
| 1.聴覚入力 | 語音認知・識別 | 語音認知の障害 → 復唱低下 |
| 2.短期保持 | 聴覚言語性短期記憶 | 記憶容量減少 → 復唱低下 |
| 3.発語出力 | 音韻体系アクセス・運動プログラム化 | 音韻性錯語・発語失行 → 復唱低下 |
復唱に「関与しない」機能:
- 文字処理(文字ー音韻変換)← 聴覚経路を使用しないため無関係
- 意味処理(語義理解)← 復唱は自動的処理で可能(意味を理解しなくても可能)
失語症タイプ別の復唱パターン:
- 伝導失語:復唱「著しく不良」(短期記憶容量低下または音韻処理障害)
- 超皮質性感覚失語:復唱「良好」(聴覚入力・短期保持・発語は保持)
- 全失語:復唱「不良」(全て低下)
キーワード:「復唱は聴覚経路の直列処理」「文字は不要」