STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第63問

高次脳機能障害第25回
意味記憶障害と関連が深い部位はどれか
  1. 1.前脳基底部
  2. 2.海馬
  3. 3.側頭葉前部 ✓
  4. 4.脳梁膨大後域
  5. 5.小脳

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 側頭葉前部 意味記憶(言葉や概念の意味、一般知識)は側頭葉前部(特に下側頭葉前部)に集約された意味情報の貯蔵庫として機能します。この領域への損傷は、意味記憶の喪失や意味的認知の低下をもたらします。 --- 【各選択肢の解説】 1. 前脳基底部 ❌ 誤り。前脳基底部(コリン作動性ニューロン群)は注意機能・覚醒に関与し、意味記憶の中核部位ではありません。ただし損傷時は高次機能全般が低下する可能性があります。 2. 海馬 ❌ 誤り。海馬は新しい情報の「符号化」と「短期記憶の確立」に関与する部位で、既存の意味知識の貯蔵庫ではありません。海馬損傷では新規学習障害は生じますが、意味記憶そのものの喪失は典型的ではありません。 3. 側頭葉前部 ✅ 正しい。側頭葉前部(下側頭葉前部・内側側頭葉を含む)は意味情報の長期貯蔵庫として機能します。この領域の損傷は意味記憶障害(語彙の意味喪失、概念理解障害)をもたらします。 4. 脳梁膨大後域 ❌ 誤り。脳梁膨大後域(後部脳梁)は左右半球間の情報伝達に関与し、視覚・聴覚情報の統合に機能します。意味記憶の中核部位ではありません。 5. 小脳 ❌ 誤り。小脳は運動学習・協調性・時間処理に関与し、意味記憶の貯蔵とは無関係です。 --- 【試験対策ポイント】 記憶システムと主要関連部位の整理 | 記憶の種類 | 定義 | 主要関連部位 | |---|---|---| | 意味記憶 | 言葉・概念の意味、一般知識(時間・脈絡なし) | 側頭葉前部(下側頭葉) | | エピソード記憶 | 時間・脈絡を持つ個人経験の記憶 | 海馬・内側側頭葉 | | 手続き記憶 | スキル・運動学習(自転車の乗り方など) | 基底核・小脳・運動野 | | 作動記憶 | 情報の一時保持・操作(3〜7秒) | 前頭前皮質背外側 | 【失語症との区別】 - 意味記憶障害:「りんご」の「果物」という属性が失われる(概念的・意味的) - Wernicke失語:「りんご」を聴いても理解できない(音韻的認識困難) - 注意:側頭葉意味痴呆(semantic dementia)は進行性の意味記憶喪失の代表例 【側頭葉前部の機能】 - 下側頭葉:物体・顔・動物の意味情報 - 前側頭葉:言葉の意味、抽象的概念、社会的意味情報
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