第25回 言語聴覚士国家試験 第81問
器質性構音障害第25回
口蓋裂患者の特徴でないのはどれか
- 1.声門破裂音の産出
- 2.歯茎破裂音の口蓋化
- 3.咽頭摩擦音の産出
- 4.無声子音の有声化 ✓
- 5.鼻音化
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 無声子音の有声化
口蓋裂患者では、口腔と鼻腔が連通しているため、口腔内圧が低下し、口腔で産生すべき音が変わります。無声子音の有声化は口蓋裂特有の特徴ではなく、むしろ構音障害全般に見られる代償音です。口蓋裂患者の典型的な特徴は、鼻腔への空気漏出に対応した音韻変化です。
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【各選択肢の解説】
1. 声門破裂音の産出
✅ 正しい。口腔内圧が保持できないため、声門で圧を作る代償音として声門破裂音[ʔ]が多用されます。閉鎖音を産出する際の代償戦略です。
2. 歯茎破裂音の口蓋化
✅ 正しい。口蓋裂があると歯列不正を伴うことが多く、また口蓋の形態異常により調音点が口蓋に偏位します。結果として/d/が[dʲ](口蓋化)となります。
3. 咽頭摩擦音の産出
✅ 正しい。口腔内で十分な狭窄が得られないため、咽頭部で作られた摩擦音[ħ]や[ʕ]が代償音として産出されます。典型的な鼻咽腔閉鎖不全の代償現象です。
4. 無声子音の有声化
❌ 誤り。無声子音の有声化(例:/p/→[b])は口蓋裂患者の典型的特徴ではありません。有声化は聞き間違いやその他の発達的原因による構音障害で見られますが、口蓋裂特有の音韻変化ではないです。
5. 鼻音化
✅ 正しい。口腔と鼻腔の連通により、本来鼻音ではない音(特に閉鎖音)が鼻音化します。例えば/p/が[m]、/t/が[n]のように産出されます。
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【試験対策ポイント】
口蓋裂患者の特徴的音韻変化
| 代償現象 | 原因 | 具体例 |
|---|---|---|
| 声門破裂音 | 口腔内圧保持不可 | /p/→[ʔ] |
| 咽頭摩擦音 | 口腔狭窄不可 | /s/→[ħ] |
| 歯茎破裂音の口蓋化 | 歯列不正・調音点偏位 | /d/→[dʲ] |
| 鼻音化 | 鼻咽腔閉鎖不全 | /p/→[m]、/t/→[n] |
出題の誘導:「口蓋裂患者でない」「見られない」という枠組みで、一般的な構音障害の知識を混ぜて出題されやすい。無声子音の有声化は音韻獲得の遅延で見られる現象であり、器質性裂の代償機構ではありません。