第25回 言語聴覚士国家試験 第85問
嚥下障害第25回
嚥下反射において喉頭が移動する方向はどれか
- 1.前上方 ✓
- 2.前下方
- 3.後上方
- 4.後下方
- 5.下方
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 前上方
嚥下反射時、喉頭は舌骨上筋群と咽頭収縮筋の収縮により、前上方へ移動します。この動きは咽頭期の開始時に生じ、喉頭蓋が気道を覆うことと相まって、食物の気管への侵入を防ぐ重要な防御機構です。
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【各選択肢の解説】
1. 前上方
✅ 正しい。嚥下反射時、舌骨上筋群(主に顎舌骨筋、舌骨舌筋など)の収縮により喉頭全体が前上方へ挙上・前方移動します。同時に喉頭蓋が下降して気管口を覆い、誤嚥を防ぎます。
2. 前下方
❌ 誤り。喉頭が前下方に移動することはありません。むしろ反対方向の誤りです。喉頭は常に上方への動きを伴います。
3. 後上方
❌ 誤り。喉頭は後方には移動しません。咽頭期では喉頭は前方に引き込まれる動きが主体です。後方移動は嚥下における防御機構に逆行します。
4. 後下方
❌ 誤り。喉頭が後下方に移動することはありません。この方向は気道防御に全く役立たないため、生理的にあり得ません。
5. 下方
❌ 誤り。喉頭は下方のみに移動するのではなく、「前上方」が正確です。単に下方という選択肢は不完全で、前方への動きが欠落しています。
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【試験対策ポイント】
嚥下5相と喉頭移動の関係
| 嚥下相 | 主な現象 | 喉頭の動き |
|---|---|---|
| 先行期 | 食物認識・準備 | 静止 |
| 口腔準備期 | 食塊形成 | 静止 |
| 口腔移送期 | 舌による推進 | 動き始める |
| 咽頭期(不随意) | 気道防御・通過 | **前上方へ挙上** |
| 食道期 | 蠕動運動 | 下降・復位 |
重要な防御機構の組み合わせ(咽頭期)
- 喉頭前上方挙上:舌骨上筋群の収縮
- 喉頭蓋下降:喉頭挙上に伴う受動的変化
- 声帯内転:気管口閉鎖
- 咽頭上咽頭括約筋閉鎖:咽頭の逆流防止
- この複合機構により初めて「気道防御」が完成
頻出の落とし穴
「喉頭が動く」ことは多くの受験生が知っていますが、その正確な方向を特定できない場合があります。「前上方」という両方向の複合表現が正答であることに注意。単に「上方」や「前方」だけでは不正確です。
臨床評価のコツ
喉頭の前上方移動は視覚的・触覚的に評価できます。VF(嚥下造影)では喉頭輪郭の上方移動が観察でき、VE(嚥下内視鏡)では喉頭蓋翻転後の喉頭挙上が確認できます。この動きが鈍い患者は誤嚥リスクが高まります。