第25回 言語聴覚士国家試験 第90問
小児聴覚障害第25回
10歳の女児。難聴を主訴に受診した。眼科にて視野異常を指摘されている。純音聴力検査で最重度難聴を示したが、後ろから話しかけると適切に応答することができる。必要な検査はどれか。
- 1.聴性脳幹反応検査 ✓
- 2.SISI検査
- 3.語音弁別検査
- 4.補聴器適合検査
- 5.UCL検査
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 聴性脳幹反応検査
この症例の鍵は「矛盾した所見」です。純音聴力検査では最重度難聴を示すが、後ろから話しかけると適切に応答できる。さらに視野異常も指摘されているという多臓器病変です。これは「非器質的聴覚障害(機能的難聴)」あるいは「聴覚路中枢の障害(例:視神経脊髄炎スペクトラム疾患など自己免疫疾患)」を強く示唆しており、脳幹部の微細な器質的障害の検出が必須となります。ABRは聴覚路の脳幹部通路を客観的に評価できる唯一の検査です。
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【各選択肢の解説】
1. 聴性脳幹反応検査(ABR)
✅ 正しい。音刺激に対する脳幹の電気活動を記録する客観的検査であり、被検者の主観に依存しません。純音聴力検査の信頼性が問題となる場合、ABRで聴覚路の脳幹部通路を客観的に評価できます。視野異常を伴う場合は中枢神経系疾患の可能性があり、脳幹部の器質的異常の検出に不可欠です。
2. SISI検査(小増分感度指数検査)
❌ 誤り。純音中に微小な音量増加を検出する能力を測定する検査で、聴覚末梢(内耳レベル)の機能診断に用いられます。この症例は中枢神経系の関与が疑われるため、末梢の補足診断は優先度が低い。また被検者の主観に依存する点も問題です。
3. 語音弁別検査
❌ 誤り。補聴器適合前の予備検査として用いられ、感音難聴か伝音難聴かの鑑別や聴覚路末梢~中枢の機能レベルを評価します。しかし純音聴力検査とは異なり、言語刺激を用いるため依然として被検者の協力(言語理解)に依存し、矛盾の解明には不十分です。
4. 補聴器適合検査
❌ 誤り。補聴器の処方に必要な検査ですが、この症例は「実聴力」の確認が先決です。最重度難聴という純音聴力検査結果が信頼できるか否かが不明な段階では、補聴器検討は時期尚早です。
5. UCL検査(不快閾検査)
❌ 誤り。聴覚路の不快音圧を測定する検査で、補聴器の上限設定に用いられます。同様に被検者の主観に依存し、この症例の矛盾を解明する検査ではありません。
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【試験対策ポイント】
鍵となる所見の整理:
| 項目 | 所見 | 示唆 |
|---|---|---|
| 純音聴力検査 | 最重度難聴 | 被検者報告 |
| 実際の反応 | 後ろから話しかけると応答 | 聴覚機能ある |
| 眼所見 | 視野異常あり | 多臓器病変(中枢神経系関与の可能性) |
| 矛盾の判断 | 主観的検査と実臨床の乖離 | 客観的検査が必須 |
客観的検査か主観的検査かの判定:
- 客観的(被検者の主観不要):ABR、鼓室圧検査、コンプライアンス測定
- 主観的(被検者の反応に依存):純音聴力検査、語音弁別検査、SISI検査、UCL検査
この症例は「非器質的聴覚障害」「中枢聴覚障害」「視神経脊