第25回 言語聴覚士国家試験 第94問
耳鼻咽喉科学第25回
難聴を生じないのはどれか
a.メニエール病
b.良性発作性頭位めまい症
c.前庭神経炎
d.聴神経腫瘍
e.遅発性内リンパ水腫
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
メニエール病、聴神経腫瘍、遅発性内リンパ水腫は内耳または内耳関連の神経に障害を起こすため難聴を伴いますが、良性発作性頭位めまい症と前庭神経炎は前庭系の障害のみで聴力は保持されます。この問題は「前庭と聴覚の解剖学的分離」が重要です。
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【各選択肢の解説】
a. メニエール病
❌ 難聴を生じます。内リンパ液の過剰蓄積により、蝸牛および前庭器官の両者が障害されるため、変動する感音難聴(典型的には低周波数帯)とめまいが両立します。難聴は初期には変動的ですが、反復発作により固定化することもあります。
b. 良性発作性頭位めまい症(BPPV)
✅ 難聴を生じません。後半規管、外側半規管などの半規管内の炭酸カルシウム結晶(耳石)の遊脱が原因であり、蝸牛(聴覚器)には障害が及びません。聴力検査は正常です。
c. 前庭神経炎
✅ 難聴を生じません。前庭神経の単独炎症であり、聴神経(内耳神経の聴覚部)には直接的な障害が及びません。突然のめまい、自発眼振を呈しますが、聴力検査は正常範囲です。
d. 聴神経腫瘍
❌ 難聴を生じます。腫瘍が聴神経を圧迫・浸潤することにより、一側性の高周波数帯の感音難聴が典型的に生じます。早期には患側耳の聴力低下が見られ、進行すると聴力喪失に至ります。
e. 遅発性内リンパ水腫
❌ 難聴を生じます。片側の聴覚障害患者に遅発性(通常10年以上後)に対側に内リンパ水腫が生じ、感音難聴とめまいが出現します。メニエール病と同様、内耳の蝸牛が障害されます。
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【試験対策ポイント】
前庭系疾患と聴覚系疾患の区別:
| 疾患 | 器官障害 | 難聴 | めまい | 自発眼振 |
|---|---|---|---|---|
| BPPV | 半規管(耳石) | なし | あり | 体位時に誘発 |
| 前庭神経炎 | 前庭神経 | なし | あり | あり |
| メニエール病 | 蝸牛+前庭 | あり | あり | あり |
| 聴神経腫瘍 | 聴神経 | あり | ±少ない | あり |
| 遅発性内リンパ水腫 | 蝸牛 | あり | あり | あり |
頻出の紛らわしいポイント:
- 前庭神経炎は「前庭神経」の障害だが、聴神経とは異なる
- めまいがあるすべての疾患が難聴を伴うわけではない
- BPPVは単なる浮遊物(耳石)の問題なので聴覚経路に影響なし
- 聴神経腫瘍は初期に「聴力低下+一側のみ」が特徴