STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第96問

聴力検査第25回
自記オージオメトリーで一過性閾値上昇を示すのはどれか
  1. 1.耳硬化症
  2. 2.慢性中耳炎
  3. 3.聴神経腫瘍 ✓
  4. 4.騒音暴露による聴覚疲労
  5. 5.外傷による鼓膜穿孔

正答:3番

解説
# 第25回 第96問 解説 ■ 正答:3番 — 聴神経腫瘍 自記オージオメトリー(Békésy オージオメトリー)における**一過性閾値上昇(Temporary Threshold Drift:TTD)**は、持続音を聴取し続けると閾値が徐々に上昇していく現象で、**後迷路性難聴(聴神経腫瘍など)**の特徴的所見です。Jerger分類のIV型に該当します。 --- 【各選択肢の解説】 1. 耳硬化症 ❌ 誤り。耳硬化症は伝音難聴を呈し、自記オージオメトリーではJerger I型(連続音と断続音が重なる正常パターン)を示します。一過性閾値上昇は認めません。 2. 慢性中耳炎 ❌ 誤り。慢性中耳炎も伝音難聴であり、Jerger I型を示します。後迷路性病変ではないため一過性閾値上昇は生じません。 3. 聴神経腫瘍 ✅ 正しい。聴神経腫瘍は後迷路性難聴の代表で、持続音の閾値が時間とともに急速に上昇する**Jerger IV型(著明な一過性閾値上昇)**を示します。神経の順応現象(トーンディケイ)を反映しており、後迷路障害の鑑別に有用です。 4. 騒音暴露による聴覚疲労 ❌ 誤り。これは一見紛らわしいですが、騒音暴露後の閾値上昇は「**TTS(Temporary Threshold Shift)**」と呼ばれる別概念で、騒音曝露後に一時的に聴力閾値が低下する現象です。自記オージオメトリー上で検査中に示される「一過性閾値上昇(TTD)」とは意味が異なります。 5. 外傷による鼓膜穿孔 ❌ 誤り。鼓膜穿孔は伝音難聴であり、Jerger I型を示します。後迷路性所見である一過性閾値上昇は認めません。 --- 【試験対策ポイント】 **自記オージオメトリー(Békésy)のJerger分類**は国試頻出。連続音(C)と断続音(I)のパターンで分類されます。 | 型 | 連続音と断続音の関係 | 代表疾患 | |---|---|---| | **I型** | 両者が重なる | 正常・伝音難聴 | | **II型** | 連続音がやや下降(1–2kHz以上で20dB以内) | 内耳性(蝸牛性)難聴 | | **III型** | 連続音が著明に下降 | 後迷路性難聴 | | **IV型** | 連続音が低音域から下降(一過性閾値上昇著明) | **後迷路性難聴(聴神経腫瘍)** | | **V型** | 連続音が断続音より上 | 機能性難聴(詐聴) | ⚠️ 紛らわしい用語に注意: - **TTD(一過性閾値上昇)**=自記オージオメトリー所見 → **聴神経腫瘍** - **TTS(一時的閾値移動)**=騒音曝露後の一時的聴力低下 → 騒音性難聴 国試では「後迷路性難聴=聴神経腫瘍=一過性閾値上昇=Jerger IV型」のセットで覚えること。
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