STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第97問

成人聴覚障害第25回
35歳女性。子供に風船を膨らませてあげていると「パチン」という音とともに激しい回転性めまいを自覚するようになった。同時に右耳には水が流れるような耳鳴りを自覚する。予想される右耳の聴力の状態として適切なのはどれか。
  1. 1.変動性または高度の感音難聴 ✓
  2. 2.低温障害型感音難聴
  3. 3.中耳に浸出液を認める伝音難聴
  4. 4.谷型の感音難聴
  5. 5.C5dip型感音難聴

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — 変動性または高度の感音難聴 本症例は急性に発症した回転性めまい・耳鳴り・聴覚症状を示しており、内耳障害が疑われます。特に「パチン」という外部音刺激に同期した急性発症と「水が流れるような」耳鳴りは、内リンパ水腫に伴う内耳圧変化を示唆しています。メニエール病を含む内耳性めまいでは、初期段階では聴力変動が特徴的です。急性期には著明な低周波数帯域の感音難聴が生じ、治療により改善する傾向があるため「変動性」が重要なキーワードです。反復する発作により聴力低下が固定化すると「高度の感音難聴」へ移行します。 --- 【各選択肢の解説】 1. 変動性または高度の感音難聴 ❌ しかし正答です。メニエール病の典型的な聴力パターンです。初期は低周波数帯域の変動性感音難聴を示し、発作を繰り返すと聴力低下が固定化し高度感音難聴へ進展します。内リンパ水腫による内耳圧変化が聴覚障害の本態です。 2. 低温障害型感音難聴 ❌ 誤りです。低温障害型(あるいはU字型)は騒音性難聴の初期所見で、500Hz付近に低下を示します。本症例は急性外傷的発症とメニエール症状が主訴で、騒音曝露による低温障害ではありません。また「水が流れるような」耳鳴りはメニエール病に特異的です。 3. 中耳に浸出液を認める伝音難聴 ❌ 誤りです。急性の回転性めまい・水様耳鳴りは内耳性であり中耳病変ではありません。伝音難聴では骨導閾値は正常範囲内に保たれるため、このような高度な聴覚症状は説明困難です。耳小骨連鎖に異常がなければ伝音難聴を呈しません。 4. 谷型の感音難聴 ❌ 誤りです。谷型(あるいはV字型)は中周波数帯域の低下を示し、特に騒音性難聴に見られるパターンです。メニエール病の初期は低周波数優位で、谷型ではなく盛り上がった不規則なパターンになります。本症例の臨床像とは合致しません。 5. C5dip型感音難聴 ❌ 誤りです。C5dip(4000Hz周辺の低下)は騒音性難聴の特徴的なパターンで、高周波数帯域の障害です。メニエール病では低周波数帯域が障害される傾向があり、C5dipとは相対する所見です。急性外傷的発症の臨床像にも合致しません。 --- 【試験対策ポイント】 メニエール病の聴力型と臨床特徴: | 時期 | 聴力パターン | 特徴 | |---|---|---| | 初期段階 | 変動性低周波数低下 | 100~500Hz帯が低下、発作で悪化・寛解で改善 | | 中期以降 | 高度感音難聴(固定化) | 反復発作で聴力低下が固定、改善困難 | | 最終段階 | 全周波数の高度低下 | 両耳罹患時は両側難聴へ進展 | 内耳性めまいの3徴候: - 回転性めまい(外転の影響で変動) - 内耳性耳鳴り(水様・ゴーゴー音) - 感音難聴(特に低周波優位) 鑑別のための聴力型判別表: |
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