第26回 言語聴覚士国家試験 第118問
呼吸系第26回
喉頭ストロボスコピーで観察する項目として適さないのはどれか。
- 1.声帯振動の周期性
- 2.声門閉鎖の状態
- 3.声帯の毛細血管の不整 ✓
- 4.声帯振動の左右対称性
- 5.声帯粘膜の非振動部位の存在
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 声帯の毛細血管の不整
喉頭ストロボスコピーは声帯振動パターンを観察する検査であり、周期性・対称性・閉鎖状態など振動特性の評価に特化しています。毛細血管の不整は微細な血管構造であり、ストロボスコープの低照度では観察困難で、これを評価する目的で本検査は実施されません。毛細血管異常は高精度顕微鏡検査(拡大喉頭鏡)で初めて検出される所見です。
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【各選択肢の解説】
1. 声帯振動の周期性
✅ 正しい。ストロボスコピーの最大の目的は、声帯が規則正しく周期的に振動しているかを評価することです。周期性の乱れは嗄声の原因診断に直結します。
2. 声門閉鎖の状態
✅ 正しい。声帯が声門正中線でどの程度密接に接触・閉鎖しているかは、音声品質に大きく影響します。閉鎖不全は気息性嗄声の原因となるため、重要な観察項目です。
3. 声帯の毛細血管の不整
❌ 誤り。毛細血管は微細構造(数十μm単位)であり、ストロボスコピーの低照度・低解像度では検出不可能です。毛細血管異常を評価するには、同軸顕微鏡(コアキシャル顕微鏡)などの高倍率観察手段が必要です。
4. 声帯振動の左右対称性
✅ 正しい。健常な音声では左右の声帯が対称的に振動します。非対称性は質量不均衡・弾性差・神経支配異常を示唆し、嗄声の重要な診断根拠となります。
5. 声帯粘膜の非振動部位の存在
✅ 正しい。声帯縁部(振動部)と後部声帯膜様部(振動部)、声帯突起部(非振動部)など、どの部位が振動し、どの部位が静止しているかはストロボで明瞭に観察でき、病態把握に有用です。
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【試験対策ポイント】
呼吸と音声の関連検査の使い分け
| 検査名 | 観察対象 | 観察可能項目 | 観察不可項目 |
|---|---|---|---|
| ストロボスコピー | 声帯振動パターン | 周期性・対称性・閉鎖・非振動部位 | 毛細血管・粘膜下層 |
| 直達喉頭鏡・耳鼻鏡 | 静止画像 | 形態・色調・腫瘤の有無 | 動的な振動特性 |
| 拡大喉頭鏡(コアキシャル) | 高倍率微細構造 | 毛細血管・微細な浮腫 | 動的振動 |
| 高速度ビデオ | 声帯振動の詳細な軌跡 | 上下・左右の微細な動き | 同じ周期で重ねられない |
| 電気声門図(EGG) | 接触周期 | 接触率・非対称性 | 形態や絶対的な接触圧 |
ストロボスコピーの原理
ストロボスコープは「周期と微小に異なるフラッシュ頻度」で照射し、声帯振動を低速化して見せる装置です。このため「周期を持つ振動現象」の評価に特化しており、周期性がない静的な微細構造(毛細血管)の観察には本質的に不適切です。
毛細血管異常が重要な場合
・再発性反回神経麻痺
・レーザー術後の瘢痕