第26回 言語聴覚士国家試験 第123問
臨床神経学第26回
筋萎縮性側索硬化症でみられない症状はどれか。
a.筋力低下
b.嚥下障害
c.構音障害
d.感覚障害
e.自律神経障害
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d. 感覚障害、e. 自律神経障害
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は上位運動ニューロン(UMN)と下位運動ニューロン(LMN)の両者が変性する疾患です。筋力低下、嚥下障害、構音障害はいずれもニューロンの変性に伴う運動機能障害として高頻度にみられますが、感覚障害と自律神経障害は病理学的に対象外であり、ALSの臨床的特徴ではありません。
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【各選択肢の解説】
a. 筋力低下
✅ 正しい。ALSの最も典型的な症状です。下位運動ニューロン障害による下垂足(前脛骨筋)や手指筋萎縮、上位運動ニューロン障害による痙縮を呈します。
b. 嚥下障害
✅ 正しい。延髄の疑核支配神経核変性により、嚥下機能が著しく障害されます。これは「球麻痺型」の進行に該当し、開鼻声・構音障害を伴うことが多いです。
c. 構音障害
✅ 正しい。ALSの混合性構音障害(Mayo分類)は弛緩性(球麻痺:開鼻声)と痙性(偽性球麻痺:努力性嗄声)が混在します。疾病の進行と同時に増悪していきます。
d. 感覚障害
❌ 誤り。ALSは純粋に運動神経の変性疾患であり、感覚神経の障害はありません。したがって感覚障害は「みられない症状」に分類されます。
e. 自律神経障害
❌ 誤り。ALSは自律神経系の病変を含まないため、自律神経障害(発汗異常、血圧変動など)はみられません。これもALSの典型的特徴からの「除外」対象です。
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【試験対策ポイント】
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の特徴
| 項目 | みられる | みられない |
|---|---|---|
| 筋力低下 | ○(上下位ニューロン障害) | — |
| 嚥下障害 | ○(球麻痺) | — |
| 構音障害 | ○(混合性) | — |
| **感覚障害** | — | ○(神経変性対象外) |
| **自律神経障害** | — | ○(神経変性対象外) |
| 眼球運動障害 | — | ○(保存症状) |
| 括約筋機能 | 保存 | — |
ALS混合性構音障害の臨床的特徴
- 弛緩性成分:開鼻声・気息性嗄声(下位ニューロン障害)
- 痙性成分:努力性嗄声・硬直声(上位ニューロン障害)
- 進行に伴い両者が増悪
重要な「みられない症状」の覚え方
- 感覚:感覚神経が対象ではない
- 自律神経:自律神経系の病変がない
- 眼球運動:外眼筋支配核が保存される(保存症状の代表)
- 括約筋機能:膀胱・肛門の異常は稀(大脳皮質との関連性)