STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第26回 言語聴覚士国家試験 第145問

言語発達学第26回
4 〜 5 歳の定型発達児が示す言語発達として適切でないのはどれか。 a.ナラティブにマクロ構造が現れる。 b.字義通りではないことばの意味を理解する。 c.系列的意味関係に基づく語の連想が可能になる。 d.語が音韻の連なりで構成されていることが分かる。 e.他者の認識内容を理解し、誤信念課題に正答できる。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — b,c 4〜5歳の定型発達児では、ナラティブ構造の成熟、メタ認知能力の発達、心の理論の獲得など高度な言語発達が起こります。ただし「字義通りではないことばの意味理解」と「系列的意味関係に基づく語連想」は、一般的には6〜7歳以降の就学後に確立される能力です。 --- 【各選択肢の解説】 a. ナラティブにマクロ構造が現れる。 ✅ 正しい。4〜5歳では物語の「起承転結」「原因と結果の関係」などの大きな枠組み(マクロ構造)が出現し始めます。これ以前は出来事を羅列的に述べるだけです。 b. 字義通りではないことばの意味を理解する。 ❌ 誤り。ことわざ・慣用句・比喩・ユーモアなど、文字通りでない意味の理解は、抽象的思考能力を要するため、通常6〜7歳以降(就学後)に確立されます。4〜5歳では字義通りの意味が主体です。 c. 系列的意味関係に基づく語の連想が可能になる。 ❌ 誤り。幼児期(4〜5歳)の語連想は主に「類音連想」「随伴連想」(例:「犬」→「わん」「骨」)であり、系列的意味関係(「犬」→「動物」→「生き物」という階層的分類)は学童期(6〜7歳以降)に成熟します。 d. 語が音韻の連なりで構成されていることが分かる。 ✅ 正しい。4〜5歳では音韻意識(phonological awareness)が発達し、「犬(いぬ)は『い』『ぬ』に分かれている」と気づくようになります。これは読み書き習得の基盤です。 e. 他者の認識内容を理解し、誤信念課題に正答できる。 ✅ 正しい。心の理論は4〜5歳で確立され、「相手が自分と異なる信念を持つ可能性」を理解するようになります。誤信念課題(Sally-Anne課題など)への正答率は4歳で急上昇します。 --- 【試験対策ポイント】 発達段階別の言語発達目標(4〜5歳 vs 6〜7歳以降) | 能力 | 4〜5歳 | 6〜7歳以降 | |---|---|---| | ナラティブ構造 | マクロ構造出現 | 複雑な因果関係 | | 語の意味理解 | 字義通り | 比喩・慣用句・ユーモア | | 語連想 | 類音・随伴 | 系列的意味関係(上位概念) | | 音韻意識 | 確立 | 音韻操作(リミング) | | 心の理論 | 誤信念課題正答 | さらに複雑な社会的推論 | キーワード: - 字義通りでない意味理解=就学後の発達(重要な除外項目) - 系列的意味関係=学童期の語彙組織化(4〜5歳では未成熟) - 音韻意識=4〜5歳で発達(読み書き準備期) 紛らわしい誤り選択肢パターン: 「4〜5歳で『も』現れる」と「4〜5歳で『完全に』確立」を混同しやすい。b・cは「が現れ始める」段階ではなく「確立される」時期が6〜7歳以降であることが誤りの本質です。
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