STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第26回 言語聴覚士国家試験 第15問

臨床神経学第26回
60歳の男性。神経所見は右動眼神経麻痺と左片麻痺を認める。 病巣はどこか。
  1. 1.
  2. 2.延髄
  3. 3.小脳
  4. 4.中脳 ✓
  5. 5.大脳

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 中脳 この患者は右動眼神経麻痺と左片麻痺という交叉症候群を呈しており、これはウェーバー症候群(Weber症候群)として知られます。動眼神経核(または動眼神経線維)は中脳に位置し、その線維が損傷されると同側の動眼神経麻痺が生じます。同時に、中脳の内側では皮質脊髄路が走行しており、この部位の損傷により対側の片麻痺が生じるのです。つまり右中脳の内側領域の梗塞により、右側動眼神経損傷+左側皮質脊髄路損傷が起こります。 --- 【各選択肢の解説】 1. 橋 ❌ 誤り。橋での損傷は外転神経麻痺(CN VI)と対側片麻痺を生じます(ミリアール・ギュブラン症候群)。動眼神経麻痺は生じません。 2. 延髄 ❌ 誤り。延髄での損傷は舌下神経麻痺と対側片麻痺を生じます(ワレンベルク症候群など)。動眼神経麻痺は生じません。 3. 小脳 ❌ 誤り。小脳損傷は失調症状(運動失調・眼振・測定異常など)を主症状とします。動眼神経麻痺や片麻痺の組み合わせは典型的ではありません。 4. 中脳 ✅ 正しい。中脳内側部の梗塞により、同側動眼神経線維の損傷と対側皮質脊髄路の損傷が同時に起こります。これはウェーバー症候群です。 5. 大脳 ❌ 誤り。大脳皮質損傷は対側片麻痺のみを生じ、脳神経麻痺は伴いません。動眼神経麻痺との組み合わせは起こりません。 --- 【試験対策ポイント】 交叉症候群(脳幹損傷の特徴) | 症候群 | 病巣部位 | 脳神経障害 | 体性神経障害 | |---|---|---|---| | ウェーバー症候群 | 中脳内側 | 動眼神経麻痺(同側) | 片麻痺(対側) | | ミリアール・ギュブラン症候群 | 橋 | 外転神経麻痺(同側) | 片麻痺(対側) | | ワレンベルク症候群 | 延髄外側 | 三叉・舌咽・迷走神経障害 | 対側半身温痛覚低下 | | 塔橋症候群 | 橋中央部 | 顔面神経麻痺(同側) | 片麻痺(対側) | 脳幹解剖の重要ポイント - 動眼神経:中脳でのみ出現 - 外転神経:橋でのみ出現 - 舌下神経:延髄でのみ出現 - 皮質脊髄路:全脳幹を貫通し、脳幹レベルでは未交叉 紛らわしさ排除法 - 「脳神経麻痺+対側片麻痺」の組み合わせ = 必ず脳幹損傷 - どの脳神経か = どの脳幹レベルか、が一対一に対応する(中脳=Ⅲ、橋=Ⅵ、延髄=Ⅻなど)
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