STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第26回 言語聴覚士国家試験 第154問

失語症第26回
運動覚促通がみられるのはどれか。
  1. 1.純粋失書
  2. 2.純粋失読 ✓
  3. 3.純粋語聾
  4. 4.発語失行
  5. 5.失読失書

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 純粋失読 純粋失読(alexia without agraphia)は、読字能力が選択的に障害されながら、書字能力は保持される希少な症候群です。患者本人が「書いた文字」を見ると読めないという矛盾現象を呈しますが、運動覚促通(kinesthetic facilitation:手を動かすことで言語機能が促通される現象)により、手指の動作を伴うことで読字成績が改善する特徴があります。これは書字時の固有受容覚フィードバックが読字を支援するメカニズムと考えられています。 --- 【各選択肢の解説】 1. 純粋失書(agraphia without alexia) ❌ 誤り。純粋失書は写字と読字が保持される一方、自発書字が障害される症候群です。運動覚促通は特徴的ではありません。むしろ言語的指示では困難だが、視覚的手本の模倣(copy)は可能という点が鍵です。 2. 純粋失読(alexia without agraphia) ✅ 正しい。運動覚促通がみられる代表的な症候群です。患者が手指を動かす動作(書く真似など)を行うと、読字成績が有意に改善する現象が観察されます。これは左角回の損傷により視覚入力から言語処理への経路が遮断されるが、運動系から言語へのアクセスは保持されていることを示唆しています。 3. 純粋語聾(pure word deafness) ❌ 誤り。純粋語聾は聴覚言語理解の選択的障害で、音声聴覚入力が障害されます。運動覚促通は通常みられず、代わりに「書きことばを見ると理解できる」という視覚的補償が特徴です。 4. 発語失行(apraxia of speech) ❌ 誤り。発語失行は音韻計画の障害による構音異常です。運動覚促通は該当しません。むしろ聴覚フィードバックや触覚キューが有効とされています。 5. 失読失書(alexia with agraphia) ❌ 誤り。失読失書は読字と書字の両方が障害される症候群で、角回領域の広範な損傷で生じます。運動覚促通の対象ではなく、読字と書字の双方が同程度に障害されたままです。 --- 【試験対策ポイント】 純粋症候群(Pure syndromes)の識別表 | 症候群 | 読字 | 書字 | 聴覚理解 | 特徴的所見 | |---|---|---|---|---| | 純粋失読 | ❌ | ✅ | ✅ | **運動覚促通あり**。書いた自分の文字が読めない | | 純粋失書 | ✅ | ❌ | ✅ | 写字は保持。自発書字は困難 | | 純粋語聾 | ✅ | ✅ | ❌ | 聴理解のみ障害。視覚的補償が有効 | | 失読失書 | ❌ | ❌ | ✅ | 読みと書きが同程度に障害 | 運動覚促通が機能する理由 - 左角回の損傷:視覚→言語への入力経路が遮断 - 運動皮質系は保持:手を動かす際の固有受容覚フィードバックが言語処理を活性化 - 神経可塑性:代替経路の利用(運動系からの補償的アクセス) 紛らわしい選択肢の見分け方 - 発語失行(4番)との区別:「失行」は運動計画障害(構音・運動遂行の困難)。「失読」は言語入力の障害。全く異なるレベルの障害 - 失読失書(5番)との区別:「純
関連

▶ 第26回 全問一覧

▶ 失語症 の過去問一覧