第26回 言語聴覚士国家試験 第156問
失語症第26回
目標語「浮き輪(うきわ)」に対する発話と症状との組合せで正しいのはどれか。
- 1.「うちわ」 —————— 無関連錯語
- 2.「うしわ」 —————— 音韻性錯語 ✓
- 3.「えーと、あれ」 ——— 迂言
- 4.「ドーナツ」 ————— 形式性錯語
- 5.「うきちわ」 ————— 新造語
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 「うしわ」 —————— 音韻性錯語
「浮き輪(うきわ)」を「うしわ」と述べることは、目標語の音韻(音)の一部を誤る典型的な音韻性錯語です。音韻性錯語は、目標語と音韻的に類似した非語(実在しない言葉)を産出する現象で、言語体系の理解は保たれていることが特徴です。
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【各選択肢の解説】
1. 「うちわ」 —————— 無関連錯語
❌ 誤り。「うちわ」は「浮き輪」と関連のある同じ日本の日用品(団扇)であり、意味的に関連性がある。無関連錯語とは、目標語とまったく意味的関連がない言葉を産出する場合を指す。
2. 「うしわ」 —————— 音韻性錯語
✅ 正しい。「浮き輪(うきわ)」の「き」を「し」に置き換えたもので、音韻(音の構成要素)の誤りである。非語であるが、目標語と音が類似している点が重要。
3. 「えーと、あれ」 ——— 迂言
❌ 誤り。迂言は目標語を直接産出できず、別の言葉で説明・言い換えする現象である。例:「浮き輪」の代わりに「水に浮かす輪」と説明する場合。「えーと、あれ」は言葉探索の困難さを示す「言語化困難」であり、迂言とは異なる。
4. 「ドーナツ」 ————— 形式性錯語
❌ 誤り。「ドーナツ」は浮き輪と形態が似た関連概念であり、意味的に関連している。これは「意味的錯語(語義錯語)」である。形式性錯語は、形態(文法的形)を誤る場合(例:「浮き輪ます」「浮き輪だった」など時制や助動詞の誤り)を指す。
5. 「うきちわ」 ————— 新造語
❌ 誤り。「うきちわ」は、目標語「うきわ」の音を部分的に誤ったもので、音韻性錯語に分類される。新造語は、目標語の音韻と無関関な全く新しい言葉を産出する場合(例:「むきたわ」など)を指す。
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【試験対策ポイント】
錯語の分類と判別法
| 錯語の種類 | 定義 | 具体例(目標語「浮き輪」の場合) |
|---|---|---|
| 音韻性錯語 | 目標語と音韻的に類似した非語を産出 | 「うしわ」「うくわ」 |
| 意味的錯語(語義錯語) | 目標語と意味的に関連した別の実在語を産出 | 「うちわ」「輪ゴム」「ドーナツ」 |
| 無関連錯語 | 目標語と全く関連性のない言葉を産出 | 「パソコン」「机」など |
| 新造語 | 目標語の音韻とも意味的関連もない造語を産出 | 「むきたわ」「ぴょんたこ」 |
| 形式性錯語 | 文法的形態を誤る(時制・助動詞など) | 「浮き輪だった」「浮き輪ます」 |
判別のコツ
- 音韻性:目標語と「音」が類似 → 非語であることが多い
- 意味的錯語:目標語と「意味」が類似 → 実在する言葉
- 迂言 vs 言語化困難:迂言は「説明的な言い換え」、言語化困難は「え~と…」