STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第26回 言語聴覚士国家試験 第162問

高次脳機能障害第26回
一側半球損傷時に一側肢にみられる障害はどれか。
  1. 1.観念性失行
  2. 2.構成障害
  3. 3.肢節運動失行 ✓
  4. 4.観念運動性失行
  5. 5.模倣行動

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 肢節運動失行 肢節運動失行は、一側頭頂葉(優位半球の上頭頂小葉)の損傷により、同側対側の肢に生じる局所的な運動の障害です。個々の筋肉の動きは保たれているが、複数の関節を協調させた運動(肩・肘・手首の組み合わせ動作など)ができなくなります。一側損傷で対側肢に限局するため、この問題の条件に合致します。 --- 【各選択肢の解説】 1. 観念性失行 ❌ 誤り。観念性失行は行為の計画・系列化の障害で、通常は両側性に現れます。一側損傷では必ずしも一側肢に限局しません。両側肢の日常生活動作全般の障害が特徴です。 2. 構成障害 ❌ 誤り。構成障害(積み木・複雑図形の模写困難)は非優位半球(右半球)頭頂葉損傷で生じますが、一側肢に限局した運動障害ではなく、空間認識全般の障害です。視空間能力の低下が本質です。 3. 肢節運動失行 ✅ 正しい。優位半球上頭頂小葉(主に1・2・5野)損傷時に、同側対側肢(体の対側)に生じます。個別の筋力・腱反射は正常ですが、肩・肘・手首などの複数関節の協調運動が失われ、「ぎこちなさ」が現れます。一側損傷=一側肢の限局的障害という条件を満たします。 4. 観念運動性失行 ❌ 誤り。観念運動性失行は指先の微細運動(ボタン留め・火のつけ方など)の障害で、両側肢に対称的に現れやすく、一側肢に限局しません。優位半球の広い領域損傷で生じます。 5. 模倣行動 ❌ 誤り。模倣行動は前頭葉症状で、前頭葉の抑制機能低下により同じ動作を無意識に繰り返します。一側肢の限局的障害ではなく、全身の自動的動作の出現が特徴です。 --- 【試験対策ポイント】 運動失行の分類と損傷部位・特徴 | 失行のタイプ | 損傷部位 | 両側性か一側か | 特徴 | |---|---|---|---| | 肢節運動失行 | 優位半球上頭頂小葉 | 一側肢に限局 | 複数関節の協調運動障害。筋力正常 | | 観念運動性失行 | 優位半球広い領域 | 両側対称的 | 指先の細かい動作困難。ボタン留め不可 | | 観念性失行 | 両側頭頂葉 | 両側 | 行為の系列化障害。道具の使い方わからず | | 構成障害 | 非優位半球頭頂葉 | 両側(空間認識全般) | 積み木・図形模写困難。運動そのものは可能 | | 模倣行動 | 前頭葉 | 全身 | 他者の行動を無意識に繰り返す | 失行の選別ポイント ・「一側肢に限局」→ 肢節運動失行 を疑う ・「複数関節の協調」「ぎこちなさ」 → 肢節運動失行 ・「道具の使い方がわからない」 → 観念性失行 ・「指先の動きが悪い」 → 観念運動性失行 ・「空間認識」「図形」「積み木」 → 構成障害
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