第26回 言語聴覚士国家試験 第163問
高次脳機能障害第26回
記憶障害のリハビリテーションについて適切でないのはどれか。
- 1.自身の障害についての認識を促す。
- 2.こまめにメモを取ることを促す。
- 3.試行錯誤しながら覚えることを促す。 ✓
- 4.スケジュール表を壁に貼ることを促す。
- 5.同じ障害がある人たちとの交流を促す。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 試行錯誤しながら覚えることを促す。
記憶障害のリハビリテーションでは、効率的で確実な記憶方略の習得が最優先です。試行錯誤は時間がかかり、失敗を重ねると自信喪失につながり、患者の負担が増加します。代わりに、外的補助手段(メモ・スケジュール表)や他者との協働学習など、確実で実証的な方法が推奨されています。
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【各選択肢の解説】
1. 自身の障害についての認識を促す。
✅ 正しい。自己認識(メタコグニション)の改善は、適切なリハビリ目標の設定と動機づけに不可欠です。障害を理解することで、代償手段の活用意欲が高まります。
2. こまめにメモを取ることを促す。
✅ 正しい。メモは外的補助手段として最も基本的で効果的な記憶代償法です。認知機能低下患者でも実行可能で、記憶の定着と情報保持に有効です。
3. 試行錯誤しながら覚えることを促す。
❌ 誤り。試行錯誤は非効率で、失敗を繰り返すため患者の心理的負担が大きくなります。記憶障害患者には、最初から「正しい方法」を教示し、確実な学習を促すエラーレス・ラーニング(誤り最小化学習)が推奨されます。
4. スケジュール表を壁に貼ることを促す。
✅ 正しい。視覚的・環境的な外的補助手段として、目につきやすい場所への掲示は記憶負荷を軽減し、日常生活での見当識向上に有効です。
5. 同じ障害がある人たちとの交流を促す。
✅ 正しい。ピアサポート・グループ療法は、同じ経験者との交流を通じて精神的サポートが得られ、社会参加意欲や対処スキルの向上に役立ちます。
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【試験対策ポイント】
記憶障害リハの基本原理
| 方法 | 特徴 | 根拠 |
|---|---|---|
| メモ・手帳 | 外的補助手段 | 最も実用的・効果的 |
| スケジュール表 | 環境調整 | 視覚的フィードバック |
| 規則的習慣化 | 手続き記憶活用 | 陳述記憶の補完 |
| エラーレス学習 | 誤り最小化 | 学習の効率性・動機維持 |
| 試行錯誤 | 非推奨 | 非効率・心理的負担増 |
重要なNOT:
- 「試行錯誤」は成人の学習方略では非効率(子どもの発達では有効だが、リハでは避ける)
- 「無理に思い出させる」より「補助手段を使う」が優先
- 自己認識不足なら、まず動機づけが必要