STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第26回 言語聴覚士国家試験 第165問

言語発達障害学第26回
DSM-5 に記載された言語症/言語障害の症状はどれか。
  1. 1.限定された構文 ✓
  2. 2.語音の算出の困難さ
  3. 3.音声と音節の繰り返し
  4. 4.特定の状況で話すことの困難さ
  5. 5.話術のルールに従うことの困難さ

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — 限定された構文 DSM-5では言語症/言語障害を「表出性言語障害」として定義し、その核となる症状として「限定された構文(文法構造の制限)」を挙げています。これは語彙や音韻システムの制限とともに、言語障害の診断基準に明記された主要症状です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 限定された構文 ✅ 正しい。DSM-5では言語症/言語障害の診断基準として「語彙、文法構造、会話スキルの発達が年相応より著しく低い」と明記し、特に限定された構文(複文や特定の文型の獲得が遅れている状態)は顕著な特徴です。 2. 語音の算出の困難さ ❌ 誤り。これは「音韻障害」または「構音障害」の特徴であり、言語症/言語障害とは区別されます。DSM-5では構音の問題は別途「音韻障害」として分類されます。 3. 音声と音節の繰り返し ❌ 誤り。これは「吃音症」(流暢性障害)の症状です。DSM-5では吃音症は言語症/言語障害とは独立した診断カテゴリです。 4. 特定の状況で話すことの困難さ ❌ 誤り。これは「選択的緘黙症」の診断基準に該当します。環境や状況依存的な発話困難は言語症/言語障害ではなく、不安障害に分類される別の疾患です。 5. 話術のルールに従うことの困難さ ❌ 誤り。実はこれは「実用的言語障害」(プラグマティック言語障害)に近い概念ですが、DSM-5の言語症/言語障害の診断基準には含まれません。プラグマティックスキルの障害は「社会的コミュニケーション障害」などで扱われます。 --- 【試験対策ポイント】 DSM-5における発達性言語障害の分類: | 診断名 | 主要症状 | 除外条件 | |---|---|---| | 言語症/言語障害 | 限定された構文・語彙・会話スキル | 聴覚障害・知的障害なし | | 音韻障害 | 語音の算出困難 | 不正咬合などの構造的問題がない | | 吃音症 | 音声と音節の繰り返し・延長 | 流暢性は状況依存的でない | | 選択的緘黙症 | 特定状況での発話困難 | 不安症が基礎 | | 社会的コミュニケーション障害 | プラグマティックスキル障害 | 言語症は伴わない | 重要:「限定された構文」はDSM-5の言語症/言語障害では「複文が作れない」「過去形や3人称単数の習得が遅れている」といった具体的な文法的遅滞を指します。本問は各障害の症状を正確に区別する良問です。
関連

▶ 第26回 全問一覧

▶ 言語発達障害学 の過去問一覧