STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第26回 言語聴覚士国家試験 第180問

器質性構音障害第26回
6 歳の男児。唇顎口蓋裂の術後に声門破裂音がみられる。 訓練に際して観察する項目はどれか。 a.咬合 b.鼻咽腔閉鎖 c.口腔鼻腔瘻 d.上顎前歯の萌出 e.上顎歯列弓の狭窄 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — b.鼻咽腔閉鎖、c.口腔鼻腔瘻 唇顎口蓋裂術後に声門破裂音が出現する場合、その原因は鼻咽腔閉鎖機能不全(軟口蓋の機能障害)と口腔鼻腔瘻(手術の瘻孔遺残)にある可能性が高い。訓練前後の構音改善を評価し、外科的再手術の必要性を判断するため、これらの観察が不可欠である。 --- 【各選択肢の解説】 a. 咬合 ❌ 誤り。咬合は歯科矯正医の管理範囲であり、言語聴覚士の訓練計画の主要な観察項目ではない。咬合不全があっても矯正治療の進行を待つ形となる。 b. 鼻咽腔閉鎖 ✅ 正しい。声門破裂音は空気圧を保持できない時の代償音である。鼻咽腔閉鎖が不十分では経鼻音化が生じ、訓練効果の見込みが限定される。VF(ビデオ蛍光透視)やNS(鼻腔鏡)で軟口蓋の挙上程度を観察することが重要。 c. 口腔鼻腔瘻 ✅ 正しい。瘻孔があると空気漏出により声門破裂音が発生しやすくなる。瘻孔の位置・大きさを確認し、必要に応じて二次手術の検討が必要である。訓練開始前の必須確認項目。 d. 上顎前歯の萌出 ❌ 誤り。前歯の萌出時期は加齢に伴う生理的現象であり、声門破裂音の訓練観察項目として直接的な関連性が低い。矯正治療の計画段階では参考となるが、構音訓練とは独立している。 e. 上顎歯列弓の狭窄 ❌ 誤り。歯列弓の形態は歯科矯正の対象であり、言語聴覚士の訓練観察項目ではない。また歯列弓の狭窄は声門破裂音の発生原因にはならない。 --- 【試験対策ポイント】 | 項目 | 言語聴覚士の観察対象 | 歯科矯正医の管理対象 | |---|---|---| | 鼻咽腔閉鎖機能 | ◎ | − | | 口腔鼻腔瘻 | ◎ | − | | 咬合 | − | ◎ | | 歯列弓 | − | ◎ | | 前歯萌出 | − | ◎(参考) | **唇顎口蓋裂術後の声門破裂音の原因と観察項目** - 鼻咽腔閉鎖不全:軟口蓋の挙上不足、咽頭咽頭部の狭窄不足 - 口腔鼻腔瘻:瘻孔からの空気漏出 - これら二つの確認なしに構音訓練を開始すると、代償音強化につながる可能性がある **歯科的観察項目(訓練とは独立)** - 咬合:矯正治療の進行で変化 - 歯列弓狭窄:歯科矯正の対象 - 前歯萌出:発達段階に応じた監視のみ
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