第26回 言語聴覚士国家試験 第192問
聴力検査第26回
非対称性聴力障害が想定される 1 歳の男児。
片耳ずつの聴力を把握するのに適切でない検査はどれか。
a.ASSR
b.BOA
c.COR
d.OAE
e.VRA
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
非対称性聴力障害を把握するには「片耳ずつの聴力閾値を測定できる検査」が必要です。BOA(行動観察オージオメトリー)とCOR(条件詞強化オージオメトリー)は両耳からの音刺激に対する全体的な反応を観察する検査であり、片耳ずつの測定が困難です。一方、ASSR・OAE・VRAは片耳ずつの評価が可能です。
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【各選択肢の解説】
a. ASSR(聴性定常反応)
✅ 正しい。電気生理学的検査として両耳独立して測定可能であり、客観的に片耳ずつの聴力閾値を推定できます。1歳児でも外部刺激を必要としないため、非対称性聴力判定に有用です。
b. BOA(行動観察オージオメトリー)
❌ 誤り。スピーカーから両耳同時に音を呈示し、頭部回転などの全体的反応を観察する検査です。片耳ずつの測定ができないため、非対称性聴力障害の診断には不適切です。
c. COR(条件詞強化オージオメトリー)
❌ 誤り。音刺激に対する条件反射を利用しますが、一般的には両耳からの音刺激に対する反応を強化する設計であり、片耳ずつの聴力測定は困難です。両耳スピーカー呈示が原則です。
d. OAE(耳音響放射)
✅ 正しい。耳介にプローブを挿入し、片耳ずつ独立して外有毛細胞機能を評価できます。周波数別の情報も得られ、非対称性聴力障害の判別に有用です。
e. VRA(視覚強化オージオメトリー)
✅ 正しい。スピーカーを左右に配置し、片耳刺激時に対応する方向を見る強化行動を測定できます。6ヶ月~3歳の幼児に最適で、片耳ずつの聴力閾値測定が可能です。
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【試験対策ポイント】
幼児聴力検査の選別
| 検査名 | 原理 | 片耳測定 | 適応年齢 | 推奨度 |
|---|---|---|---|---|
| ASSR | 電気生理反応 | 可能(客観的) | 0ヶ月~ | A |
| BOA | 行動観察 | 不可(両耳) | 3ヶ月~6ヶ月 | 低 |
| COR | 条件反射強化 | 困難(両耳が原則) | 6ヶ月~3歳 | 低 |
| OAE | 外有毛細胞機能 | 可能 | 0ヶ月~ | A |
| VRA | 視覚強化 | 可能 | 6ヶ月~3歳 | A |
非対称性聴力障害の診断ポイント
- 両耳の聴力に差がある場合、片耳ずつ独立した測定が必須
- OAEは周波数別聴力情報が限定的(スクリーニング向き)
- VRAは行動反応のため、児の発達段階・協力度に影響される
- ASSRは最も客観的で年齢制限なし(新生児からも可能)
- CORはVRAの前段階として両耳測定用(単耳スピーカーでの実施は困難)
紛らわしい検査の違い
- BOA vs VRA:BOAは無条件反応観察、VRAは光刺激による条件強化反応
- COR vs VRA:CORは古い手法で実用性低、VRAが主流(視覚報酬が効果的)