STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第26回 言語聴覚士国家試験 第195問

補聴器・人工内耳第26回
人工聴覚器について適切でない組合せはどれか。 a.人工中耳 ———————————— 振動子は両側蝸牛を刺激する。 b.人工内耳 ———————————— 電極の刺激位置でピッチ感覚が変わる。 c.骨固定型補聴器 ————————— 外耳道閉鎖症が適応となる。 d.聴性脳幹インプラント —————— 皿電極を使用する。 e.残存聴力活用型インプラント ——— 谷型聴力が適応となる。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — a,e 本問は人工聴覚器の機器特性と適応条件の正確な理解が求められます。aは振動子が「両側」刺激するのは誤り(片側のマレウス長突起を刺激)であり、eは「谷型聴力」ではなく「高周波数域の残存聴力」が適応です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 人工中耳 ———— 振動子は両側蝸牛を刺激する。 ❌ 誤り。人工中耳(VSB:振動刺激型補聴器)の振動子は患側の「マレウス長突起に単一装着」され、片側のみを刺激します。両側蝸牛刺激は不可能であり、安全性・有効性の観点からも設計されていません。 b. 人工内耳 ———— 電極の刺激位置でピッチ感覚が変わる。 ✅ 正しい。人工内耳は蝸牛内の電極アレイの刺激位置により周波数情報を符号化します。蝸牛底部(狭い部分)で高周波数、蝸牛頂部で低周波数を処理するため、ピッチ感覚は「刺激位置に依存」します。これは蝸牛神経の周波数組織化(tonotopic organization)に基づいています。 c. 骨固定型補聴器 ————— 外耳道閉鎖症が適応となる。 ✅ 正しい。骨固定型補聴器(BAHA等)は外耳道を経由せず、振動を頭骨に直接伝えるため、外耳道閉鎖症・慢性中耳炎による外耳道狭窄・外耳道湿疹など「外耳道経路が利用不可能」な症例で指示されます。 d. 聴性脳幹インプラント(ABI) ———— 皿電極を使用する。 ✅ 正しい。ABIは人工内耳が適応困難な両側聴神経腫瘍(NF2)や蝸牛神経欠損例に対し、延髄の蝸牛核に直接刺激電極を装着します。複数の「皿電極」で蝸牛核を刺激し、周波数組織化に基づいて聴覚情報を伝送します。 e. 残存聴力活用型インプラント ———— 谷型聴力が適応となる。 ❌ 誤り。残存聴力活用型インプラント(EAS:electro-acoustic stimulation)は「低周波数域の残存聴力を活用」することが特徴です。適応は低周波数で聴力が保存され、高周波数域でのみ補充が必要な「高周波数凹型聴力」(high-frequency sloping)です。「谷型(mid-frequency dip)」ではなく、文法的にも対応しません。 --- 【試験対策ポイント】 人工聴覚器の比較表 | デバイス | 刺激部位 | 電極 | 主な適応 | |---------|---------|------|---------| | 人工中耳(VSB) | マレウス長突起(片側) | 振動子1個 | 伝音難聴・混合難聴 | | 人工内耳(CI) | 蝸牛内 | 複数電極アレイ | 両側高度感音難聴・ろう | | 骨固定型補聴器 | 頭骨 | 振動子 | 外耳道閉鎖症・伝音難聴 | | ABI | 蝸牛核(延髄) | 皿電極 | 両側聴神経腫瘍・NF2 | | EAS | 蝸牛内(低周波数+高周波数) | ハイブリッド | 高周波数凹型聴力 | キーワード: - 人工内耳の
関連

▶ 第26回 全問一覧

▶ 補聴器・人工内耳 の過去問一覧