第26回 言語聴覚士国家試験 第199問
補聴器・人工内耳第26回
補聴器性能の測定について正しいのはどれか。
- 1.音響カプラとして2cmカプラを用いる。 ✓
- 2.最大音響利得の測定では 90 dB SPL の純音を入力する。
- 3.200 Hz から 5,000 Hz までの周波数の出力を入出力特性と呼ぶ。
- 4.規準周波数レスポンスを測定する際は利得調整を最大にする。
- 5.カプラ内に発生した音圧とマイクロホンに入力された音圧の差を挿入利得と呼ぶ。
正答:1番
解説
# 第26回 第199問 解説
■ 正答:1番 — 音響カプラとして2cmカプラを用いる。
補聴器の性能測定はJIS規格(JIS C 5512、IEC 60118に準拠)に基づいて行われます。耳かけ型・耳あな型補聴器の測定では容積2mLの2cmカプラ(2ccカプラ)を標準的に使用します。これは成人の外耳道の平均音響容積を模擬したものです。
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【各選択肢の解説】
1. 音響カプラとして2cmカプラを用いる。
✅ 正しい。補聴器性能測定の標準音響カプラは容積2mL(2cc)の2cmカプラです。耳型カプラ(KEMAR等)はより実耳に近い評価に使用されますが、JIS規格に基づく標準測定には2cmカプラが用いられます。
2. 最大音響利得の測定では 90 dB SPL の純音を入力する。
❌ 誤り。最大音響利得(最大利得)の測定では50または60 dB SPLの入力音を使用します。90 dB SPLの入力は最大出力音圧レベル(OSPL90)を測定する際に使用するもので、両者は混同しやすいポイントです。
3. 200 Hz から 5,000 Hz までの周波数の出力を入出力特性と呼ぶ。
❌ 誤り。200〜5,000 Hzの周波数範囲にわたる利得(または出力)の周波数ごとの変化を示したものは**周波数レスポンス(周波数特性)**と呼びます。入出力特性(I/O特性)とは、特定の周波数において入力音圧を変化させたときの出力音圧の関係を示したものです。
4. 規準周波数レスポンスを測定する際は利得調整を最大にする。
❌ 誤り。規準周波数レスポンスを測定する際は、利得調整を最大より17 dB下げた位置(Reference Test Position)に設定して行います。最大利得での測定はOSPL90など最大出力の評価に対応します。
5. カプラ内に発生した音圧とマイクロホンに入力された音圧の差を挿入利得と呼ぶ。
❌ 誤り。設問の説明はカプラ利得(音響利得)に近い概念です。挿入利得(insertion gain)とは、補聴器を装用した状態の実耳での音圧と、装用していない状態の実耳での音圧の差(dB)を指し、実耳測定(REM)で用いられる指標です。カプラではなく実耳で測定する点が重要です。
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【試験対策ポイント】
補聴器測定の主要パラメータと入力条件を整理しましょう。
| 測定項目 | 入力音圧 | 利得調整 | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| **最大出力音圧(OSPL90)** | 90 dB SPL | 最大 | 最大出力の確認(安全性) |
| **規準周波数レスポンス** | 60 dB SPL | 規準位置(最大−17 dB) | 標準的な利得特性 |
| **最大音響利得** | 50または60 dB SPL | 最大 | 最大利得確認 |
キーワード整理:
- **2cmカプラ(2ccカプラ)**:標準測定用。容積2mLで外耳道を模擬
- **挿入利得**:実耳測定(REM)の概念。「補聴器あり」と「なし」の実耳音圧差
- **カプラ利得**:カプラで測定した入出力の差。実耳測定とは区別する
国試では「**90 dB SPL → 最大出力(OSPL90)測定**」「**60 dB SPL → 利得測定**」の対応関係と、「**挿入利得=実耳測定**」という点が繰り返し問われます。