STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第26回 言語聴覚士国家試験 第34問

生涯発達心理学第26回
児童期前には見られず、児童期に初めて出現する心理学的事象はどれか。 a.役割実験 b.二次的心の理論の理解 c.ギャング集団 d.コンピテンスの低下 e.向社会的行動 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — b,c,d 児童期(6~12歳)に初めて出現する心理学的事象を正確に判定する問題です。二次的心の理論の理解、ギャング集団の形成、及びコンピテンスの低下は児童期特有の発達現象です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 役割実験 ❌ 誤り。役割実験(ごっこ遊び)は幼児期(2~4歳)から既に観察されます。象徴遊びの発達段階では、18ヶ月から他者になりきる遊びが出現し、児童期前に確立されている現象です。したがって「児童期に初めて出現」という条件を満たしません。 b. 二次的心の理論の理解 ✅ 正しい。二次的心の理論(他者の他者に対する心の理解)は、児童期初期(6~8歳)に発達する高度な認知能力です。幼児期には一次的心の理論(他者の単純な信念や意図の理解)までが限界であり、児童期に初めて「Aさんはそれを信じるだろうと、Bさんが考えるだろう」といったメタ認知が可能になります。 c. ギャング集団 ✅ 正しい。ギャング集団(同性の複数児によるゆるい友人集団)は児童期中期(8~10歳頃)に初めて形成される特徴的な現象です。幼児期には見られず、児童期に同性志向性が高まるとともに共通の興味や遊びを中心とした集団構造が出現します。 d. コンピテンスの低下 ✅ 正しい。コンピテンス(有能感・自己効力感)は児童期に低下する現象として知られています。未就学児は無条件に高い自己評価を持ちますが、児童期に学校という比較集団に入ると、自分の相対的位置づけが明確になり、有能感が現実的に調整されて低下します。これは正常な発達過程です。 e. 向社会的行動 ❌ 誤り。向社会的行動(他者を助ける・共感的行動)は幼児期(3歳以降)から既に観察されます。思いやりや協力行動は幼児期の同伴者遊びの段階で既に出現しており、児童期に「初めて出現」する現象ではありません。児童期には複雑化・精緻化しますが、起源はそれより前です。 --- 【試験対策ポイント】 児童期前後の心理学的事象の区別 | 現象 | 幼児期 | 児童期 | |---|---|---| | 役割実験(ごっこ遊び) | 出現(2~4歳) | 発達・複雑化 | | 一次的心の理論 | 達成(4~5歳) | 確立 | | 二次的心の理論 | 不可 | 初めて可(6~8歳) | | 自己評価(コンピテンス) | 無条件に高い | 低下・現実的に | | 向社会的行動 | 出現(3歳~) | 発達・複雑化 | | ギャング集団 | なし | 初出現(8~10歳) | 重要な否定知識 - 「児童期に初めて」という条件を厳密に読むことが鍵 - 幼児期で既に芽生えている行動と、児童期に初めて質的転換する認知的現象を区別する - コンピテンス低下は「病理」ではなく「正常な発達過程」
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