第26回 言語聴覚士国家試験 第63問
高次脳機能障害第26回
家を家として認知でき、家の形態も識別できるのに、熟知した家や風景を同定できなくなるのはどれか。
- 1.相貌失認
- 2.街並失認 ✓
- 3.視覚性注意障害
- 4.道順障害
- 5.アントン症候群
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 街並失認
熟知した風景や家並みを同定できなくなる障害です。視覚的に対象物を知覚・識別することはできますが、それが「どの場所か」「どこで見たことのある景色か」という地誌的記憶との照合ができず、同定に至りません。これが視覚性地誌失認(街並失認)の本質です。
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【各選択肢の解説】
1. 相貌失認
❌ 誤り。相貌失認は「人間の顔を同定できない」障害です。「これは誰の顔か」という同定が困難になります。問題文は「家や風景」であり、顔認知ではありません。
2. 街並失認
✅ 正しい。視覚性地誌失認の代表形態です。風景や街並みを視覚的に感知できますが、「この風景はどこか」という同定ができません。特に右頭頂葉後部の障害で起こるとされています。
3. 視覚性注意障害
❌ 誤り。注意障害は視覚対象を「見落とす」「見逃す」という障害です。対象物を正常に知覚した上で「同定できない」という街並失認の病態とは異なります。
4. 道順障害
❌ 誤り。道順障害は「経路記憶の障害」で、同じ道を繰り返し歩いても進む方向や経路を学習・記憶できません。「風景そのものを同定できない」という問題ではなく「経路の記憶と実行」の障害です。
5. アントン症候群
❌ 誤り。アントン症候群は皮質盲(両側後頭葉障害)で実際には見えていないのに「見える」と本人が主張する否認の症候群です。問題文は「見えているが同定できない」という異なる病態です。
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【試験対策ポイント】
視覚性地誌失認(街並失認)の関連障害群:
| 障害名 | 障害の本質 | 大脳部位 |
|---|---|---|
| 相貌失認 | 顔を顔として認識できない(個人の同定不可) | 両側紡錘状回 |
| 街並失認 | 風景・街並みを同定できない(地理的場所の同定不可) | 右頭頂葉後部・後頭頂葉 |
| 道順障害 | 経路学習・経路記憶の障害 | 右海馬・右側頭葉 |
| 視覚失認 | 対象物が何かわからない(色・形・大きさ識別困難) | 両側側頭葉後部 |
キーワード:
- 「家の形態は識別できる」→視知覚は保持されている
- 「熟知した家・風景を同定できない」→記憶との照合不全
- 「同定」がキーワード→地誌失認を示唆
試験での区別方法:
- 相貌失認(顔) vs 街並失認(風景)→誰 vs どこ
- 街並失認 vs 道順障害→場所の認識 vs 経路の記憶
- 街並失認 vs アントン症候群→見えているが同定できない vs 見えていないのに見えると主張