第26回 言語聴覚士国家試験 第79問
器質性構音障害第26回
構音に影響しないのはどれか。
- 1.口蓋裂
- 2.顎変形症
- 3.舌癌
- 4.舌白板症 ✓
- 5.舌小帯短縮症
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 舌白板症
舌白板症は舌背部の白色病変であり、構音器官としての舌の形態や機能を損なわない。構音は舌の動きや形態に大きく依存するため、舌の形態的変化や運動障害がない舌白板症は、直接的な構音障害をもたらさない。
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【各選択肢の解説】
1. 口蓋裂
❌ 誤り。口蓋裂は硬口蓋の開裂により、鼻咽腔閉鎖機能が低下し、/p/、/t/、/k/などの破裂音や摩擦音が正常に産生されない。開鼻声(hypernasality)が特徴的な構音障害となる。
2. 顎変形症
❌ 誤り。顎変形症は上下顎の大きさ・位置の不正により、咬合不正が生じ、歯列不正に伴って歯音(/s/など)が障害される。また顎位の変化により舌の動きが制限され、全体的な構音精度が低下する。
3. 舌癌
❌ 誤り。舌癌により舌組織が欠損または腫大すると、舌の体積・形態が変化し、舌の細かい動きが制限される。特に舌先行性音(/t/、/d/、/l/など)や舌背音(/k/、/ŋ/など)の産生が困難となり、著しい構音障害をもたらす。
4. 舌白板症
✅ 正しい。舌白板症は舌背の角化上皮による白色病変で、舌の形態や運動機能を損なわない。悪性化のリスクがあるため医学的に重要だが、構音機能への直接的な影響はない。
5. 舌小帯短縮症
❌ 誤り。舌小帯が短いと舌の挙上運動が制限され、舌先行性音(/t/、/d/、/l/など)や舌背音の産生が困難になる。特に/r/音や歯音の構音障害が顕著であり、言語発達初期に音韻発達の遅延をもたらす。
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【試験対策ポイント】
構音に影響する器質的要因:形態変化 vs 機能障害
| 要因 | 形態への影響 | 運動への影響 | 構音への影響 |
|---|---|---|---|
| 口蓋裂 | ○(開裂) | ◎(鼻咽腔閉鎖不全) | ✅ あり |
| 顎変形症 | ◎(歯列不正) | ○(舌の動き制限) | ✅ あり |
| 舌癌 | ◎(欠損/腫大) | ◎(運動制限) | ✅ あり |
| 舌小帯短縮症 | −(正常) | ◎(挙上制限) | ✅ あり |
| 舌白板症 | −(表面病変) | −(なし) | ❌ なし |
重要キーワード:
- 舌白板症:舌背の白色角化病変→悪性化リスク(医学的重要性)≠構音機能障害
- 構音に直接影響する条件:(1)舌の形態欠損、(2)舌の運動制限、(3)構音器官の位置異常
- 舌白板症はいずれにも該当しない